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October 12, 2021

「ショパンゾンビ・コンテスタント」

●さて、現在ショパン・コンクールが開催中ということで連日ショパン漬けになっている方も多いのではないかと思うが、そこでふと思い出すのがあの小説だ。芥川賞作家の町屋良平著「ショパンゾンビ・コンテスタント」(新潮社)。以前、当欄にて「ゾンビとわたし その40」で取り上げたように、これは音大のピアノ科に入学した若者が大学を辞め、小説を書こうとするも煮え切らない日々を送るという青春小説だ。ショパンばかりを聴いていて気分転換をしたくなったという方にぴったり。登場人物がYouTubeで2015年のショパン・コンクールを眺めている場面が出てきて、ケイト・リュウとかエリック・ルーの名前も登場する。ひとつ大誤算だったのは、肝心のゾンビが出てこないということなのだがっ!
●てっきりワルシャワの聖十字架教会に眠るショパンの心臓から、ゾンビ化したショパンが甦って大暴れする話だと思ったのに……。ショパン本人がショパン・コンクールにエントリーしてどこまで進めるか、みたいな展開はない。