●16日はサントリーホールでジョナサン・ノット指揮東京交響楽団。プログラムはベルクのヴァイオリン協奏曲(神尾真由子)、ブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。当初、ブルックナーは「1888年稿コーストヴェット版」と発表されていたが、指揮者の意向により一般的な版に変更された(1878/80年稿ノーヴァク版)。ベルクとブルックナーの組合せによる重量級オーストリア音楽プロ。
●ベルクは雄弁なソロ、清澄なオーケストラ。後半のブルックナーは音の大伽藍、大聖堂というよりはモダン建築。自分の中では無神論者のブルックナーと呼んでいるのだが、宗教的な恍惚感に頼らず、深い森も野人もなく、旋律やリズムや音色そのもののおもしろさ、音の動き、色彩のコントラスト、強弱のダイナミズムで鮮烈なドラマを築くブルックナー。序盤、このコンビならもう一歩豊麗な響きがあってもいいかとは思ったが、進むにつれて熱を帯び、終楽章は壮大なクライマックスに。曲が終わって完全な沈黙が訪れたのも吉。盛大な拍手が鳴りやまず、もはや恒例となっているノットのソロ・アンコールに。
●開演前、カラヤン広場では簡単なステージが組まれ、お店が並び、人々で賑わっていた。ハンガリーフェスティバルということでハチミツ(なのか)。中に入ると寛げそうな雰囲気だったが、ノリがよくわからないので自重した。
October 18, 2021