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November 11, 2021

リッカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィルのモーツァルト&シューベルト

●11日はサントリーホールでウィーン・フィルハーモニー・ウィーク・イン・ジャパン2021。今回の指揮はリッカルド・ムーティ。昨年、困難を乗り越えて来日してくれたウィーン・フィルだが、今年もまた来日公演が実現。というか、来日オーケストラを聴いたのって、まさにその昨年のウィーン・フィル以来なのでは(アンサンブル・アンテルコンタンポランを別とすれば)。プログラムはモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」とシューベルトの交響曲「グレイト」。
●春にムーティが単身来日した際も東京春祭オーケストラで同じ「ハフナー」を振ってくれたけど、印象はずいぶん違って、かなり重々しい。年齢を考えれば驚異的に元気なムーティだけど、それでもやはり音楽は年輪を重ねていて、かつての機敏さや弾力性に代わって、重厚さや粘りが前面に出ている。そしてウィーン・フィルの来日公演ではたびたびあるように、最初はどこか散漫な様子で始まるのだが、進むにつれて音楽が生命力を獲得し、最後はウィーン・フィルならではの豊麗な響きが鳴り渡る。ダイナミズムと抒情性に富んだ「グレイト」を堪能。曲が終わると間髪入れずに拍手がわき起こり、客席は大喝采。アンコールはヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲」。これはもうお家芸。すべてが手の内に入っているといった様子で、ヨハン・シュトラウスのワルツのなかでも屈指の名作を楽しませてくれた。客席ではブラボーと記した幕を掲げる人たちが何人もいて、ムーティもこれに反応するなど、在京オーケストラの演奏会とはまた違った雰囲気。祝祭的なムードのなかで、ムーティのソロカーテンコールが2回。客席はスタンディングオベーション。