●24日はサントリーホールで小泉和裕指揮名古屋フィル。プログラムは前半にモーツァルトの交響曲第31番「パリ」、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(小林海都)、後半にチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」。小林海都はアンドレイ・コロベイニコフの代役。東京公演にチャイコフスキーの1番という選択に惹かれて足を運ぶ。
●モーツァルトは20世紀巨匠風のたっぷりとした流麗なスタイル。カラヤンばりのリッチで豊満なモーツァルトは今や貴重。ラフマニノフでは昨年リーズ国際ピアノコンクールで第2位に入賞した小林海都が登場。キレのある鮮やかなタッチで万全のソロ。もっと他のタイプの曲も聴きたくなる。新星とあってソリスト・アンコールを期待したが、残念ながら叶わず。リーズのファイナルではマンゼ指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルとの共演でバルトークのピアノ協奏曲第3番を演奏していた。
●チャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」は親しみやすい民謡風主題が散りばめられた傑作だが、土臭さよりもシンフォニックな魅力を前面に押し出した洗練されたスタイル。白眉は第2楽章。作品そのものには若書きを感じる楽章だが、細部まで彫琢され、雄大なドラマが表現される。終楽章は推進力にあふれ、すっきり爽快。
●客席は久々に感染対策による市松模様。分散退場あり。東京の新規陽性者数はオミクロン株の威力で爆発的に増加しており、また身近なところでも感染者が出てきているが、危機感は稀薄。短期間のピークで済むことを願う。
January 25, 2022