●ワールドカップ最終予選は先日のホーム中国戦に続いて、ホームのサウジアラビア戦。このグループでサウジアラビアは頭一つ抜き出ての首位。アウェイのサウジアラビア戦でニッポンは0対1で敗れており、そのときはスコア以上の差を感じた。で、今度はホームにサウジアラビアを迎えたわけだが、形勢はすっかり逆転、なんと、ほとんどチャンスらしいチャンスを与えることなく、2対0で完勝したのだった。序盤こそ、サウジの強さが垣間見えたものの、前半20分にアルマルキが負傷退場した後は、ずっとニッポンのリズムで試合を進めていた。
●特にキーとなったのはニッポンの右サイド。伊東が縦横無尽の活躍。前半32分、スピードで相手を置き去りにして、低い高速クロスを入れると、中央で受けた南野が落ち着いてシュート、相手キーパーにあたったボールがゴールマウスに吸い込まれた。2点目は後半5分で、ハイプレスからボールを奪った後、流れてきたボールを伊東が豪快に右足を振りぬいて、ズドンとゴール左上に突き刺すビューティフル・ゴール。これはスーパープレイ。よく見るとディフェンスの股下を抜いて蹴り込んでいる。サウジラビアにとって伊東のサイドは本来ならアルシャハラニの攻め上がりを期待していたはず。伊東のスピードのおかげでアルシャハラニが守備に追われる展開になったのが大きかった。
●森保監督はあくまでも継続性を重んじる采配で、先発メンバーは前の中国戦と変わらず、交代選手までだいたい同じ。GK:権田-DF:酒井、板倉、谷口彰悟、長友(→中山雄太)-MF:遠藤(→原口)、守田、田中碧-FW:伊東、南野(→浅野)-大迫(→前田大然)。まあ、前の試合で勝ったのだから、同じメンバーが出るのは自然なことではある。この日も「リリーフ左サイドバック」のように中山が長友に代わって途中出場した。が、この試合に関しては中山はもうひとつで、長友が内容で上回っていたのはたしか。こうなると森保監督は正しかったということになるのだが、一周回って、じゃあ長友の後継者は中山でいいのか、やっぱり本職の左サイドバックが必要なんじゃないかというスタート地点に立ち返ってしまう。だれか左サイドバックのスペシャリストがレギュラーになり、守備のオールラウンドなバックアッパーとして中山が控える、という形がいいんじゃないか。太古のオフトジャパン以来の「左サイドバックの選手層が薄い」問題が2022年の今も続いている。
●右サイドバックでは酒井も久しぶりに元気なプレイ。ある時期から酒井はもう燃え尽きたように感じていたのだが。しかしベテランになればかつてのようなパッションが失われるのは自然なことで、そういう選手の数がこのチームに多すぎるんじゃないかと、この日の完勝を目にしてもなお感じている。というのも、気がつけば伊東28歳、南野27歳、遠藤28歳。「下の世代」と思っていた選手たちがピークの年齢に達しつつある。世代交代が進まない。
●さて、ニッポンが勝点3をゲットした後、オーストラリアはアウェイでオマーンと戦って2対2のドロー。オーストラリアは2度にわたってリードするが追いつかれるという惜しまれる展開。また、中国はアウェイのベトナム戦で完敗。やはりどこもアウェイでは苦労する。これでグループBは1位サウジアラビア(勝点19)、2位ニッポン(勝点18)、3位オーストラリア(勝点15)で残り2試合。オーストラリアが少し引き離されたが、彼らはホームのニッポン戦を残している。
February 2, 2022