●23日は東京オペラシティでリオネル・ブランギエ指揮東京交響楽団。ブランギエの名はLAフィルでサロネンのアシスタントを務めていた頃から目にする機会があったが、その後チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団音楽監督他のポストを務めて、どんどん売れっ子に。東響との共演は前回聴き逃したので、今回ようやく実演で聴くことができた。
●プログラムは師匠サロネン作曲の「ヘリックス」、ラヴェルのピアノ協奏曲(リーズ・ドゥ・ラ・サール)、「高雅で感傷的なワルツ」、ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」(1919年版)。ブランギエはカラフルで洗練されたサウンドをオーケストラから引き出してくれた。ノットやスダーンが指揮するときとはまったく別の色彩感を持つ東響に変身。サロネンの「ヘリックス」の着想源はラヴェルのボレロなんじゃないだろうか。ボレロにおける直線的なクレッシェンドを、円錐を上る螺旋形に発展させたような趣。ラヴェルのピアノ協奏曲で独奏を務めたドゥ・ラ・サールは売り出し中の若手の頃にラ・フォル・ジュルネで何度も来てくれたと思うけど、今や成熟した中堅ピアニストに。流麗なだけではなく案外パワフル。繊細な「高雅で感傷的なワルツ」、強奏時にも響きが濁らない洗練された「火の鳥」も大いに堪能。また聴きたくなるコンビ。
April 25, 2022