●27日はトッパンホールで谷昂登(あきと)のピアノリサイタル。2003年生まれなので、まだ十代という若さ。中村紘子の推薦もあって早くから注目されており、以前の子供時代のあどけない顔が印象に残っているが、今やすらっとした立派な好青年に。颯爽としている。2021年の日本音楽コンクールピアノ部門第1位の逸材。
●プログラムはベートーヴェンのピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」、シューマンの幻想曲ハ長調、リストのピアノ・ソナタ ロ短調。シューマンとリストが互いに相手に献呈した作品が組み合わされているという、聴きごたえのある重量級プログラム。思いのほか音が強靭で、軽々と楽器を鳴らし切るようなスケールの大きな演奏が魅力。とりわけリストが切れ味鋭く鮮烈。異形のソナタがまばゆい光を放つ。おしまいの余韻を大切にするかのように、アンコールがなかったのも吉。やはりこの曲は聴き終えて放心したい。機会があればなにかコンチェルトも聴いてみたくなる。
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●お知らせ。ONTOMOで連載「神話と音楽Who's Who 第11回 オルフェオとエウリディーチェ」が公開。ご笑覧ください。
April 28, 2022