●24日、新日本フィルの記者会見が終わった後はアークヒルズクラブでNHK交響楽団の記者会見へ。次期首席指揮者であるファビオ・ルイージを交えて、今後の活動方針について発表された。ルイージは2001年に初めてN響を指揮して以来、すでに多数の公演で共演を重ねる間柄。首席指揮者としての契約は2022年9月からの3年間。「かねてよりN響はとても魅力的なオーケストラだと感じており、今回の首席指揮者就任はとても名誉なこと。自分自身のメンターでありロールモデルでもあったヴォルフガング・サヴァリッシュが培った伝統がこのオーケストラに息づいている。最初の共演からオーケストラにとって重要なレパートリーであるブルックナーの交響曲第7番を任せてもらうことができた。以来共演を重ねるごとに友情が芽生え、互いの理解が深まっている。首席指揮者としての最初のシーズンではブルックナー、ブラームス、リヒャルト・シュトラウスといったドイツ・オーストリアのレパートリー、そしてヴェルディのレクエイムをとりあげる。これらは私にとって中心的なレパートリーでもある」
●2022/23シーズンのN響定期はいくつかの点が刷新されている。まずAプロ、Bプロ、Cプロの特色がこれまでより明確化される(AプロとCプロはNHKホールに戻る)。Aプロは比較的大編成の曲が中心、サントリーホールのBプロは魅力あるソリストを招く、Cプロは休憩なしの60分~80分程度のコンパクトな公演で、開演前の室内楽あり、曲間に解説を交えるなど多くの人に聴いてもらえる工夫を凝らす。また、若い世代に足を運んでもらうために25歳以下を対象にした「N響ユースチケット」が設けられ、すべての券種で50%以上の割引が実現する。標準料金の公演でもっとも高額なA・Bプロの一般S席8900円が4000円になり、もっとも安価な席だとCプロ一般E席1600円が800円になる。800円はすごい。映画より安い。
●もうひとつ、楽しい話題を。23年12月に第2000回定期公演があるのだが、この節目の回の演目をファン投票で決めるという(!)。候補は3つ。フランツ・シュミットのオラトリオ「7つの封印の書」、マーラーの「千人の交響曲」、シューマンの「楽園とペリ」。この趣向についてはルイージも歓迎しており、パンデミックによる無観客公演などを経験して聴衆の大切さを痛感した今、聴衆に参加してもらうことはよいアイディアだと語っていた。投票方法は後日ホームページで紹介されるそうだが、結果は見えていると思う。一般的な人気で言えば「千人の交響曲」の圧勝だろうが、この曲はN響のみならず在京オーケストラがなんども記念公演等でとりあげており新味がないわけで、N響のお客さんは「空気を読んで」フランツ・シュミット「7つの封印の書」に投票するはず。だよねー。
May 26, 2022