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June 1, 2022

アンドリュー・リットン指揮東京都交響楽団のアメリカ音楽プログラム

●31日はサントリーホールでアンドリュー・リットン指揮都響。シンディ・マクティーの「タイムピース」(2000)、バーンスタインのセレナード(プラトン「饗宴」による)(金川真弓のヴァイオリン)、コープランドの交響曲第3番というアメリカ音楽集。
●1曲目のシンディ・マクティー、以前にパートナーであるスラットキンの指揮で聴く機会があったような、なかったような……。この「タイムピース」はダラス交響楽団の委嘱作品で初演者がリットンだったそう。インパクトの強い作品とは言いづらいが、劇伴風で聴きやすい。バーンスタインのセレナードはこの日の白眉。金川真弓の独奏ヴァイオリンが圧倒的。鮮やかな技巧と雄弁さ、音色の輝かしさ。作品にふんだんに盛り込まれたウィットが伝わってきて楽しい。傑作。生前のバーンスタインを、自分はなぜスター指揮者としてばかり見ていて、(ミュージカル以外で)時代を代表する作曲家として認識できなかったのか……。5楽章構成、ユーモア、終楽章の開放感と壮麗さなど、少しバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を連想する。ソリスト・アンコールにバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調より第4楽章アレグロ・アッサイ。これがまた鮮やか。
●後半はコープランドの交響曲第3番で、たぶん、この曲を聴くのはスラットキン指揮デトロイト交響楽団の来日公演以来。有名な「市民のためのファンファーレ」が終楽章で引用された堂々たる交響曲。伝統にのっとった明快でドラマティックな作風。リットンは都響からパワフルなサウンドを引き出す。終楽章は山に次ぐ山でまれに聴く大音響のエンディング。あまりに息の長い壮絶なフィナーレに過剰さを感じなくもないんだけど、その突き抜け方がこの曲の魅力なのかも。拍手が鳴りやまず、リットンのソロ・カーテンコールあり。