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June 17, 2022

セバスティアン・ヴァイグレ指揮読響のドヴォルザーク他

●16日はサントリーホールでセバスティアン・ヴァイグレ指揮読響。ソリストが当初の予定から変更してマルティン・ガルシア・ガルシアに。昨年のショパン・コンクールでは3位ながら異彩を放っていてインパクトは抜群、先に開かれたリサイタルとコンチェルトの公演でも大盛況だった模様。この日、若いお客さんが多かったのはガルガル効果だったんだろうか。
●プログラムはドヴォルザークの交響詩「真昼の魔女」、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番(ガルシア・ガルシア)、ドヴォルザークの交響曲第8番。「真昼の魔女」は題材の物語が怖すぎる鬱名曲なのだが(シューベルト「魔王」と同種)、描写性豊かで、ストーリーテリングの巧みな演奏。ガルシア・ガルシアのモーツァルトはユニーク。歯切れよく、しかし歌心にもあふれ、表現のコントラストが鮮やか。キュート。ピアノはFAZIOLI。すこぶる澄明で華やかな音色。軽やかな弱音表現が見事だけど、大ホールなのでもう少し弾いてほしい気も。奏者のハミングが聞こえる。楽しそうに弾く姿が吉。ソリスト・アンコールにベートーヴェンの「6つのバガテル」op126の終曲。かなり荒っぽく入ったが、その後の内省的な表現にはぐっと引き付けられる。
●ドヴォルザークの交響曲第8番は土臭さとシンフォニックなスペクタクルが両立した快演。「真昼の魔女」の邪気を払うような、楽しく大らかな田舎礼賛。読響は爽快な鳴りっぷり。ヴァイグレ、ドヴォルザークが本当に似合っている。この曲、完璧さと気恥ずかしさの間で奇跡的にバランスがとれているという点で、チャイコフスキーの第5番と双璧だと思う。