●東京国立博物館が創立150年を記念して、7月20日(水)から24日(日)まで、総合文化展(常設展に相当するもの)を無料で公開している。とにかくこの博物館は大きい。東京・春・音楽祭で足を運ぶ機会もあると思うが、本館、平成館、東洋館、法隆寺宝物館、黒田記念館等々、展示がいくつもの館にわたっている。後方に広がる庭園もすばらしい(今の季節は熱中症注意)。一回ですべてを見ようと思っても無理なので、自分なりにテーマを設けて訪れるのが吉。
●というわけで、東京国立博物館に展示されているミュージシャンたちを追いかけてみた。まずは日本代表として選んでみたのがこの人。
●「埴輪 琴をひく男子」(古墳時代・6世紀)。最古の楽器は打楽器に譲るだろうが、琴、リュート、ウード、キタラ、ハープ等々の撥弦楽器も相当に古いんじゃないだろうか。6世紀に作られた埴輪に登場するのだから、日本の琴もかなりの古さ。膝の上に乗せて弾いていたのだろうか。
●これは16世紀日本、室町時代の扇面画。「源氏物語」の第27帖「篝火」が題材となっている。源氏が玉鬘のもとを訪れ、篝火の下で若い公達たちに楽器を演奏させる。この写真じゃよくわからないが、中央左に琴を弾く姿が描かれている。
●続いてはインドの細密画。「タンブーラを弾く女」。18世紀の作品。やはりここでも撥弦楽器が登場する。タンブーラは南インド古典音楽に用いられるドローン用の楽器。このお姉さんは木に腰かけて弾いているのだろうか。
●こちらは迦陵頻伽(かりょうびんが)像。韓国慶州出土、8世紀の作。迦陵頻伽とは極楽浄土に住む鳥で、上半身が人、下半身が鳥の姿をしている。とても美しい音で歌うとされているのだが、この像を見ると両手に小型のシンバル状楽器を持っている。ということは、シャンシャンとシンバルを打ち鳴らしながら、美声で歌っていたのであろうか。(つづく)
July 21, 2022