●(承前)ここまで紹介した東京国立博物館のミュージシャンたちは、琴やタンブーラなどソロの演奏ばかりだったが、唯一、アンサンブルと呼べるかもしれない演奏風景が描かれていたのがこちら。「画像石 舞人と楽人」。中国山東省魚台県出土で、後漢時代、1~2世紀のものというから、圧倒的に古い。この画像石だけを眺めていてもだれがなにをしているのか、わかりづらいだろうが、下のような解説図が添えられている。
●このように、この画像石には太鼓(1)、琴(4)、簫(しょう=パンパイプ)と鼗(とう=でんでん太鼓)の両方を使う3人の奏者(6)、歌手(5)、ダンサー(3)、ジャグラー(2)が描かれているのだ。つまり、弦楽器、管楽器、打楽器が一通りそろっているわけで、小規模ながらこれはほとんどオーケストラと言ってもいいのでは。18世紀オーケストラどころではなく、1世紀オーケストラ。もっともこういうアンサンブルが実在したのか、単に図像として描かれただけなのかは知らない。
July 22, 2022