●25日はサントリーホールでアラン・ギルバート指揮東京都交響楽団。モーツァルトの交響曲第39番、第40番、第41番「ジュピター」の三大交響曲という直球プログラム。場内に入ってステージ上の椅子の少なさに軽く驚く。弦は12型。そういえば一頃は小編成の曲ばかりを聴いていたっけ……。指揮台を置かず指揮棒なしの親密でシャープなアンサンブル。特に第39番はもともと編成が小ぶりなので、大きめの室内楽を体験しているかのよう。HIPな要素は感じられず、モダンかつ軽快なモーツァルト。ところどころで強弱の変化を強調したり、抒情的な部分ですっとテンポを落としたりはするが、けれんみはない。これまでに聴いた同コンビの演奏には華やかで輝かしいサウンドという印象を持っていたが、小編成モーツァルトでもそれは変わらない。
●前半が2曲、後半が1曲。まあ、そうするしかないか……。全部つなげると長すぎるし、小休憩を2回入れるわけにもいかない。「ジュピター」は前2曲に比べると大交響曲だと改めて実感。この曲のいちばん聴きたい部分は最後に訪れる壮麗なフーガだが、にもかかわらず終楽章も後半に入るともうすぐ曲が終わってしまう寂しさを感じずにはいられないという矛盾。楽員退出後も鳴り止まない拍手にこたえて、指揮者が矢部達哉、四方恭子の両コンサートマスターを伴って三人一緒にカーテンコール。
●演奏会の一曲目が交響曲第39番だと、オーボエがいないのでクラリネットのチューニングで始まる。オーボエ以外の管楽器でチューニングが行われる再頻出パターンがこの曲か。
July 27, 2022