August 12, 2022

原田慶太楼指揮東京交響楽団 フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2022

フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2022
●11日はフェスタサマーミューザKAWASAKIで、「東京交響楽団フィナーレコンサート」。指揮は同団正指揮者の原田慶太楼、ソリストに昨年ミュンヘン国際音楽コンクールヴァイオリン部門で第1位を獲得した岡本誠司。プログラムが凝っていて、前半にコルンゴルトの組曲「から騒ぎ」抜粋とヴァイオリン協奏曲、後半に武満徹「3つの映画音楽」とプロコフィエフの「ロメオとジュリエット」抜粋。プレトークに原田慶太楼、岡本誠司、コンサートマスター水谷晃の三氏が登場して、プログラムの解題があったが、素直に受け止めれば映画音楽、シェイクスピア、亡命といったあたりが大きなキーワード。こういうときに協奏曲だけソリスト都合の無関係な曲になるパターンも少なくないわけだけど、しっかりと全体のプランに組み込まれているのは吉。
●コルンゴルトの組曲「から騒ぎ」からは序曲、花嫁の部屋の乙女、ドグベリーとヴァ―ジェス、間奏曲、仮面舞踏会(ホーンパイプ)の5曲。弦楽器8名と一管編成という編成で、ハルモニウム(リードオルガン)が加わって独特の色彩感を醸し出す。ミューザの広い舞台に小ぢんまりと劇場オーケストラが再現。喜劇の劇音楽ながら、曲想はときにリヒャルト・シュトラウス風だったりマーラー風だったりするのがおもしろい。最後の曲は擬古的。ヴァイオリン協奏曲では岡本誠司の独奏が圧巻。豊麗なロマンティシズムをたっぷりと味わう。ソリスト・アンコールにクライスラー「レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース」。
●プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」は組曲から7曲を抜粋。強烈にメリハリのきいた演奏で、ふだんより彩度5割増しくらいの感覚のくっきりと鮮やかなサウンド。ノットの指揮とはまた違った風貌の東響に。指揮ぶりはダイナミックで鋭角的。これだけ自分の刻印をはっきりと押せる人はまれ。最後が「ジュリエットの死」で、音楽祭のフィナーレとしてはずいぶんしんみりしているなと思ったが、アンコールで同組曲から「朝の踊り」が演奏されて華やかなムードで幕。感染者数が激増するなかでの音楽祭で、見えるところと見えないところでさまざまな苦労があったと察するが、どの公演も中止にならずに完走した。偉大。

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