●7日は五反田文化センターの音楽ホールで「アントネッロ リコーダーコンソートTOUR 2022」。濱田芳通率いるアントネッロの富山、札幌、東京、名古屋と巡るツアーの一公演。濱田芳通、浅井愛、大塚照道、織田優子によるリコーダー四重奏に高本一郎のリュート、立岩潤三のパーカッションが加わる。プログラムはルネサンス期から初期バロックの作品集。創意とサービス精神に富んだプログラムですこぶる痛快。リコーダーのアンサンブルでこれだけ多彩な表現ができることに感嘆。
●前半は4つのブロックに分かれていて、クレマン・ジャヌカンらの「フランス・ルネサンスのシャンソン」、ハインリッヒ・イザークらの「メディチ家の謝肉祭」、ミヒャエル・プレトリウスらの「三十年戦争前夜と戦時下の宮廷音楽」、トーマス・シンプソンらの「エリザベス朝の古謡」。リコーダーで各国を巡る旅。「グリーンスリーヴス」がこれだけおもしろく聴けるとは。合間に挟まれる濱田さんのトークも独特の味わいとおかしさがあって絶妙のバランス。
●後半は「17世紀イタリア、バロック時代の夜明け」で、ダリオ・カステッロとタルクィーニオ・メールラの曲を中心に。メールラのカンツォン「夜うぐいす」「ラ・メールラ」「めんどり」という3曲の並びがあって、この「ラ・メールラ」とはツグミのことなんだとか。つまり、鳥の曲が並んでいる。各曲とも鳥の鳴き声を模倣してから曲に入るんだけど、すごい、リコーダーってそんなことができるんだ。いや、そういえばリコーダーの語源は鳥のさえずりが云々という話がなかったっけ……。アンコールはスコット・ジョプリンの「ザ・ラグタイム・ダンス」。がらりと雰囲気が変わって、開放的な楽しさ。
●五反田文化センター、ぜんぜんなじみのない場所だったんだけど、音楽ホールはびっくりするほど立派な小ホール。駅からかなり歩くけど、「文化センター」という名称に反して本格的な音楽専用ホールだった。で、これは品川区立の建物なので、図書館やプラネタリウムも含まれている。そして、ワタシはこの会場で初めて知ったのだが、品川区はシナモンロールが観光大使を務めているのだ! これはまさか「しながわ」に「シナモン」という「しな」つながりなんだろうか。そして「品川観光」という言葉に先端的なマイクロツーリズムの香りを感じる。心のなかの「いいね」ボタンをタップした。
September 8, 2022