●映画館で「ブレット・トレイン」(デヴィッド・リーチ監督)。原作が伊坂幸太郎で、主演がブラッド・ピット、物語の舞台が日本の新幹線のなかということしか知らずに見た。ブラッド・ピットは殺し屋の役。東京発の新幹線に乗って、ブリーフケースを盗んで次の駅で降りるだけの仕事を引き受けたが、列車内に次々とあらわれる曲者たちに命を狙われる、というギャグ調クライムアクション。洗練された作り込みでガイ・リッチー、バイオレンスと饒舌さでタランティーノを思わせるテイスト。殺し屋のひとりがなにかにつけて物事を「きかんしゃトーマス」にたとえるのがおかしい(これは原作由来なのだとか)。あと、列車内で殺し屋同士でバチバチ戦ってるところで、近くの乗客から「しーっ」と注意されると、すみませんとにこやかに謝ったりとか、日本社会の特徴を正しく理解したうえでの笑いが散りばめられている。あえて誇張された「エセ日本」的な要素がたくさん盛り込まれている。
●あまり細かいことを気にせずに見るべき話なのだが、ブラッド・ピットから連想したのは映画「ワールド・ウォーZ」。ゾンビ映画で主人公がゾンビ禍を生き延びるのはありだとは思うが、いくらなんでも飛行機が墜落したのに主人公が無事だったというのは禁じ手だろうと思った。そんな前例があったよなあ……と思い出す。
●伊坂幸太郎の原作は「マリアビートル」だそう。英訳されて英ダガー賞翻訳部門の最終候補に残ったというからスゴい。
September 14, 2022