●26日は紀尾井ホールでアレクサンドラ・ドヴガンのピアノ・リサイタル。なんとまだ15歳ながらザルツブルク音楽祭やアムステルダム・コンセルトヘボウ、パリ・シャンゼリゼ劇場といった大舞台に立ち、ドゥダメル、コープマン、ピノックらとも共演する新星。ドヴガンはロシア出身で現在はスペイン在住。
●プログラムは前半がベートーヴェンのピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」とシューマンの「ウィーンの謝肉祭の道化」、後半がショパンで幻想曲へ短調、バラード第4番、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ。「指が回る天才少女」的なイメージではまったくなく、成熟度の高い音楽を聴かせてくれる。細身にもかかわらず、打鍵は力強く、楽器を鳴らし切る。ダイナミクスの幅が広く、表現は彫りが深くて多彩。バラード第4番までかなり緊張度の高いピリピリした空気が流れていたが、作品の性格もあってか、最後のアンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズではぐっとゆとりのある華やかな雰囲気に。この曲が白眉。続くアンコールも開放感のある流れになって、ラフマニノフの前奏曲第12番嬰ト短調op.32-12、クープランの「鳥のさえずり」、ショパンのマズルカ第13番イ短調op.17-4と続いた。
●ロシアの若い才能がこれからどうなるのか、先行きが見通せる状況ではないが、貴重な才能がこれからまっすぐ伸びてくれることを願う。
September 27, 2022