October 19, 2022

トーマス・ダウスゴー指揮東京都交響楽団のニールセン「不滅」他

トーマス・ダウスゴー指揮東京都交響楽団
●この週末にマケラ、ダウスゴー、ブロムシュテットの北欧系指揮者が集結していた東京。16日は東京芸術劇場でトーマス・ダウスゴー指揮の都響で、ランゴーの交響曲第4番「落葉」、シューマンのチェロ協奏曲(宮田大)、ニールセンの交響曲第4番「不滅」というプログラム。ダウスゴーは以前、新日フィルでも「不滅」を聴かせてくれたっけ。なんどでも聴きたくなる「不滅」。
●ダウスゴーはマスクを着用したままで指揮して、最後まで外さず。この付けっぱなしパターンは珍しい。一曲目のランゴーの「落葉」、ぜんぜん知らない曲だったのだが、曲名から想像する秋の侘しさみたいなものとはまったく違ってゴリゴリにパワフル。1916年、ニールセン「不滅」と同年の作曲ということだが、ティンパニの活躍もあって、作風的にも少し似ている。デンマークの落葉って、日本のとはずいぶん違ってそう。シューマンのチェロ協奏曲は宮田大の雄弁かつパワフルなソロがすばらしい。潤いのある音色で情感も豊か。ソリスト・アンコールが少しおかしくて、朗々と歌う「赤とんぼ」が始まったと思ったら、シューマンの「トロイメライ」がつながって、また「赤とんぼ」に帰る。山田耕筰とシューマンのキメラ仕様。
●ニールセン「不滅」は引き締まったサウンドによる緊迫感あふれる名演。猛烈なカッコよさ。2台目のティンパニは舞台前方上手側に置いてあった。終盤の太鼓無双は迫力満点。中二病がぶり返してきそうな熱さ。
●この日、場内で一曲目から小さな電子音というか警告音がときどき聞こえた。なんだか電池切れとか「電波が届きません」的な警告音みたいな音だなと思ったが、前半の曲間に場内アナウンスで補聴器のハウリングについての注意喚起があり、休憩後にふたたび注意があった。シューマンではまだ聞こえていたが、後半のニールセンでは収まった模様。不注意は万人にありうるので、機器側で技術的に解決できるスマートな方法があるといいのだが。