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November 15, 2022

アンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団のマーラー6

ネルソンス ボストン交響楽団 来日公演 2022●13日はサントリーホールでアンドリス・ネルソンス指揮ボストン交響楽団。プログラムはマーラーの交響曲第6番「悲劇的」一曲のみ。舞台上がびっしりと埋まる大編成の作品をアメリカのメジャー・オーケストラの演奏で聴く。コロナ禍でこんなことは当面難しいだろうと思っていたことができるようになったという喜びと、昨今の円安ドル高を思うとこんなことは当面難しいかもという予感が入り交じって複雑な気分。ネルソンスを最初に聴いたのは2010年のウィーン・フィル来日公演だっただろうか。あのときは小澤征爾の代役のサロネンのさらに代役で、若手枠という扱いだったが、そこから一回りも二回りも大きくなって、今や巨匠の風格すら漂っている。
●ボストン交響楽団は名手ぞろいで、恐るべき機能性の高さ。高い解像度と濃厚なテイストのサウンドをあわせ持つオーケストラは貴重。ネルソンスの指揮ぶりは緩急自在というか、特に「緩」に傾きがちで、じっくりと音楽を掘り下げてゆくスタイル。スケールの大きな音楽である反面、もっと推進力が欲しくなる場面も。楽章の順序は第2楽章がスケルツォで、第3楽章がアンダンテ。第4楽章のハンマーは3回。第3楽章までは「細部まで彫琢された荘厳重厚な音響建築」を鑑賞しているような感もあったのだが、第4楽章は白熱したドラマに引き込まれた。終演後は盛大な喝采に続いて、ネルソンスが英語でスピーチ。が、自分はほとんど聴き取れず(あーあ、この前のシフのレクチャーはほぼ聴き取れたのに)。感謝のメッセージ的なものだと思うが、ずいぶんと長く話してくれた。楽員の退出後も拍手が止まず、ネルソンスのソロ・カーテンコールとスタンディングオベーションに。