●あーあ、サッカーって、こういうスポーツだったよなあ……(嘆息)。試合前はなんとなく楽観的になっていた、すなわち、ドイツ戦の逆転勝利でテンションMAXのニッポンがコスタリカを一蹴する。でも、案外、熱い試合の後は0対0のドローなんてこともあるかも。なんて思っていたら、0対1で負けてしまった!コスタリカがたった一本打った枠内シュート、ほぼ唯一のチャンスでゴールが決まり、試合が決まる。サッカーでこういう試合は無数にあるものだが、ここでそれが来るのか。
●まず先発だが、森保監督はメンバー5人を入れ替えてきた。一般的にいえば、かなり大胆なターンオーバーだが、ワタシはほぼ全員入れ替えるんじゃないかと予想していたので、むしろおとなしいと思ったほど。ただ、トップの上田、左の相馬はかなり意外な起用。ここで南野が先発しないのはよほど本調子に遠いのか。浅野、三苫も先発確定かと思いきやベンチ。GK:権田-DF:山根(→三笘)、板倉、吉田、長友(→伊藤洋輝)-MF:遠藤、守田-堂安(→伊東)、鎌田、相馬(→南野)-FW:上田(→浅野)。酒井と冨安は負傷でベンチ外。
●前半の冒頭だけは勢いよくニッポンが攻め込み、期待を抱かせたものの、その後は見せ場の少ない展開に。お互いに慎重で、前線からのプレスも弱い。前半、ニッポンにシュートらしいシュートはなかったのでは。コスタリカは5バック。前半途中からニッポンは3バックに変更。ドイツ戦ではハマった策だが、これはあまり功を奏したようには見えず。後ろでは容易にボールを回せるのだが、前に収まりどころがなく、上田のポストがまるで機能しない。
●後半の頭から、上田を浅野に、長友を伊藤に交代。その後、山根を三笘に代えて攻撃力を高めるのだが、なかなか三笘が高い位置で前を向いてボールをもらえない。前にスペースが欲しい三笘と、チャンスがあれば前に出たい左センターバック伊藤の組合せがよろしくない。それでも終盤に三笘が2度、ドリブルで相手を抜き去ってペナルティエリア奥深くまで侵入する得意の形を作った。あれを2回やって2回ともコピーのように成功してしまうというのもすごい話だが、どちらも中で決められなかったのにはがっかり。後半、ニッポンのチャンスはかなり増えたが、途中からニッポンの守備が少し軽くなった時間帯があり、そこでコスタリカは唯一のチャンスを決めてしまった。あと、ニッポンはファウルで止める場面がやたらと多いのは気になった。
●サッカーの難しいところは、終わった後でなにを言っても結果論でしかないということ。ドイツ戦で森保監督が後半から3バックに変更し、守りが弱くなるのを承知で次々と攻撃の選手を入れたのは名采配と称えられたが、同じことを10回やって5回勝てるかといえば、たぶん勝てない。浅野のあのトラップとシュートはまれにしか発動しないし、ドイツはあんなにシュートを外さない。コスタリカ戦の森保采配は意味不明に思えるが、同じことを10回やって5回勝てるかと問われると、まあ勝てるんじゃないかという気はする。コスタリカの勝利への道筋はすごく狭かったのはたしか。イランのケイロス監督は初戦で臆病な采配をしてイングランド相手に大敗して叩かれたが、第2戦でウェールズ相手に完勝すると胴上げされてヒーローになっていた。昨日の愚か者は今日の英雄。そう思ったものだが、森保監督はその逆でこれからずいぶん批判されるのだろう。足りなかったものを指摘するのは容易だし、ミスももちろんたくさんあった。サッカーはミスのスポーツ。両チームがミスをしなければすべての試合は0対0で終わると言ったのは誰だったか。
●アジアの健闘ぶりが光っているように見えた大会序盤だが、ニッポンはこれでだいぶ決勝トーナメント進出が厳しくなった。少なくともスペイン戦で勝点が必要だと思うが、細かい条件はこの後のスペイン対ドイツ戦が終わってから見ればいいのか。ここまでのアジア勢を見てみると、サウジはアルゼンチンに勝ち、ポーランドに敗れた。オーストラリアはフランスに敗れ、チュニジアに勝った。イランはイングランドに敗れ、ウェールズに勝った。韓国はウルグアイに引分け。カタールは連敗。まあ、普段の大会でアジア勢が勝つ試合はとても少ないので、ここまで大健闘しているのはたしか。問題は決勝トーナメントに何チームが進出できるか。
ニッポン 0-1 コスタリカ
娯楽度 ★★
伝説度 ★★