●ワールドカップ2022カタール大会は決勝トーナメントに入った。開催国カタールがまったくいいところなく敗退してしまったが(アジア・カップではあんなに強かったのに)、アジアからはオーストラリア、日本、韓国の3チームがグループステージを勝ち抜いた。アジア勢3チームは史上初。敗退したサウジとイランもそれぞれアルゼンチン、ウェールズに勝利しており、これまでのようにアジアは「やられ役」にはなっていない。特に韓国の第3戦はポルトガルに勝利した上で、もうひとつの試合が理想的な結果に終わってくれて大逆転での決勝トーナメント進出で、これにはびっくり。もちろん最大の驚きはニッポンがドイツとスペインに勝って1位通過したことだが。あと、3戦全勝が1チームもない。
●16強の内訳は欧州8、アジア3、南米2、アフリカ2、北中米1。アフリカも健闘している一方、南米はブラジル、アルゼンチンのみ。北中米1はいつものメキシコではなくアメリカだ。
●で、ここからは一発勝負。ラウンド16のアルゼンチンvsオーストラリア戦は、予想通り、アルゼンチンが攻めてオーストラリアがブロックを敷いて守る展開。オーストラリアはファジアーノ岡山のフォワード、ミッチェル・デュークがこの日も先発。J2の選手がワールドカップに出場し、さらに決勝トーナメントで戦っているという未来がここに。ディフェンスのミロシュ・デゲネクも元マリノスの選手。アルゼンチンはやはり35歳になったメッシが中心のチーム。メッシはおおむね歩いている。代わりに他の選手が走る。アルゼンチンはそういうサッカー。前半35分、縦パスを受けたオタメンディがワンタッチで落としたところにメッシが左足を振り抜いて先制ゴール。オーストラリアは前半をこの1失点で凌いだ。
●後半、オーストラリアは前線へプレスをかけ、前に出る。ところが後半12分、前線へのプレスを実らせたのはアルゼンチンのほう。メッシは歩いていても他の選手が走るのだ。デパウルがディフェンス・ラインにプレスをかけ、オーストラリアのキーパー、ライアンがバックパスの処理をわずかに誤って前にボールが流れたところをアルバレスが奪って、ゴールに流し込んで2点目。ふたりの連動したプレスから相手のミスを誘った。悔やまれるのはオーストラリアのキーパーのライアンで、バックパスをそのままダイレクトで蹴り返せばなんでもなかったところを、甘いトラップを刈られてしまった。
●後半32分、オーストラリアはグッドウィンの思い切り打ったシュートが相手ディフェンスにリフレクトしてゴールに入って1点を返す。ここからパワープレイを交えながらオープンな攻め合いになったが、今のオーストラリアは一昔前と違って案外とパワープレイがうまくない。むしろときどき爆発的に躍動するメッシが脅威を与えていた。終了直前にゴール前の混戦からクオルにビッグチャンスが巡ってきたがこれを決めきれず、アルゼンチンが2対1で勝利。アジア勢にはここからの壁が高い。
アルゼンチン 2-1 オーストラリア
娯楽度 ★★★
伝説度 ★