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December 27, 2022

全国共同制作オペラ「道化師」&「田舎騎士道」(カヴァレリア・ルスティカーナ)記者会見

全国共同制作オペラ「道化師」&「田舎騎士道」(カヴァレリア・ルスティカーナ)記者会見
●12月6日、東京芸術劇場で全国共同制作オペラ「道化師」&「田舎騎士道」(カヴァレリア・ルスティカーナ)の記者会見があった。ZOOMウェビナーでオンライン参加。これまでも大胆な演出家の起用で話題を呼んできた全国共同制作オペラだが、今回は今年3月まで宝塚歌劇団で話題作を手がけてきた演出家、上田久美子(写真前列左から2番目)がオペラに初挑戦する。演目はレオンカヴァッロの「道化師」とマスカーニの「田舎騎士道」(カヴァレリア・ルスティカーナ)という定番のダブルビル。23年2月に東京芸術劇場で、3月に愛知県芸術劇場で上演される。いつものように本格的なリハーサルに先んじて、演出家と日本人出演者による記者会見が開かれたのだが、写真のように出演者がずらり。いくら二本立てと言ってもなんだか人数が多すぎやしないか……と思うわけだが、実は今回の演出ではひとつの役を歌手とダンサーが演じる。そのため、人数もこんなに大勢いるのだ。オペラの役を歌手と俳優が演じ分ける例はこれまでにもあったと思うが、演出家上田久美子の着想源は文楽なのだとか。
●上田「もともとの作品意図を現代日本に伝えようとしたときになにができるかと考えたときに、貧富の差など、ふだん可視化されていないものを描き出したいと思った。そこで文楽方式で、歌とダンサーによる昔のイタリアと今の日本の重ね絵のようなものを実現したい」「いろんな舞台設定がある。歌手は太夫のように声のエネルギーでダンサーたちを動かしていく」。実際の舞台がどうなるのかは見てのお楽しみといったところだと思うが、かなり独自性の強い工夫が凝らされている模様。歌手陣からも演出について「腑に落ちた」「とても納得できた」といった言葉が寄せられており、期待できそう。題材が題材だけに、なんとなく印象としては、けっこうエグい感じになるのかなあと予想している。
●指揮はバイエルン国立歌劇場来日公演など、日本をたびたび訪れているアッシャー・フィッシュで、オーケストラは読響。主要キャストを歌手とダンサーを並べて挙げると、「道化師」ではカニオ(加美男)をアントネッロ・パロンビ/三井聡、ネッダ(寧々)を柴田紗貴子/蘭乃はな、トニオ(富男)を清水勇磨/小浦一優(芋洗坂係長)、「田舎騎士道」ではトゥリッドゥ(護男)をアントネッロ・パロンビ/柳本雅寛、サントゥッツァ(聖子)をテレサ・ロマーノ/三東瑠璃、ローラ(葉子)を鳥木弥生/髙原伸子、アルフィオ(日野)を三戸大久/宮河愛一郎が演じる。
●この全国共同制作オペラのシリーズ、これまでにもいろんな演出家が起用されてきて、ぜんぶ観たわけじゃないけど「ホームランか三振か」みたいなフルスウィングがもっぱら。確実にありきたりではないオペラを見せてくれるという点で貴重な存在。