●先月のワールドカップ2022カタール大会について書き忘れていたことをひとつ。荒れた試合になった準々決勝のオランダ対アルゼンチンだ。ABEMAの中継ではよくわからなかったのだが、メッシがPKを決めた後、わざわざオランダベンチの前に向かって、リケルメのポーズ(トッポジージョ・ポーズ)をとった場面があった。両手を耳の横につけて広げるポーズだ。その場面の写真をここに載せたいところだが、権利上無理なので代わりに日刊スポーツの写真をリンクしておくけど、メッシはわざわざオランダのファン・ハール監督にあのポーズを見せに行ったんである。メッシにとってファン・ハール監督はバルセロナ時代に自身のアイドルであるリケルメを干した監督。キックオフ前からオランダの挑発が続いていたこともあり、メッシは復讐するかのようにわざわざリケルメのポーズを見せつけた。あまり感情を表に見せないメッシにしては珍しい行動だが、よほど腹に据えかねていたのだろう。
●ファン・ハール嫌いは他のアルゼンチンの選手たちにも浸透していて、メッシの盟友ディ・マリアもファン・ハール監督時代のマンチェスターユナイテッドで不遇をかこった。のちにディ・マリアはファン・ハールを最悪の監督だったとこき下ろしている。
●上に掲げた映像は、そのメッシの元ネタとなったリケルメのトッポジージョ・ポーズ。リケルメはアルゼンチン代表の一員として、キリン・チャレンジでジーコ・ジャパンとも対戦している他、トヨタカップでボカ・ジュニアーズの一員としても来日している。古典的な10番タイプのファンタジスタで、モダンフットボールとの相性はよくない。ゴールしたときの両手を耳の横で広げるポーズについて尋ねられた際、「娘がトッポジージョを好きだから」と言ったそうなのだが、それは方便みたいなものだろう。見たままに解釈するのが自然だと思う。この歓声を聞け、と。
January 17, 2023