●20日はサントリーホールでカーチュン・ウォン指揮日フィル。伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」とバルトークの「管弦楽のための協奏曲」という絶妙な組合せのプログラム。土着性から生み出された普遍性という共通項を持った名曲だが、それだけではなく伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」を初演した指揮者セヴィツキーが、バルトーク「管弦楽のための協奏曲」を委嘱初演したクーセヴィツキーの甥だという縁もある。そして、どちらもアメリカのオーケストラによって初演された曲。
●バルトークにはもっと農村的な作品がたくさんあるけど、「管弦楽のための協奏曲」はモダンでスペクタクルも満載、都会的なきらびやかさすらある。なので、なんとなく伊福部の土俗性にバルトークを寄せるようなイメージを抱いて臨んだが、むしろバルトークに伊福部が寄せられていた感。強靭なビートが生み出す直線的な推進力は、熱いけれどもスマート。グローカル伊福部。前半で大いに盛り上がったが、後半のバルトークも細部まで神経が行き届き聴きごたえ十分。勢い任せではなく丹念。
●同じ会場で前夜の山田和樹指揮読響と二晩続けて、日本と欧州の20世紀オーケストラ曲を並べたプログラムを聴いたことになる。自然発生的シリーズが誕生する東京クラシック音楽シーン「あるある」。
●伊福部昭「シンフォニア・タプカーラ」は古くからの友人であった音楽評論家の三浦淳史さんに献呈されている。三浦淳史さんは先日ご紹介した「英国音楽大全」の著者。
January 23, 2023