●16日はNHKホールでヤクブ・フルシャ指揮NHK交響楽団。この日は東京では珍しく積雪あり。電車が止まって会場にたどり着けないパターンかと恐れたが、夕方から雨になり、思ったほど交通機関の混乱もなかった。とはいえ、どの駅からも遠いホールなので、客席に空席が多かったのは天候を考えればしかたがない。この日はCプロなので、19時30分開演で休憩なしのプログラムだが、18時45分からN響メンバーによる室内楽がある(入退場自由)。この日はチャイコフスキーの弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」から第1楽章。
●本編のプログラムはバーンスタインの「ウエスト・サイド・ストーリー」から「シンフォニック・ダンス」、ラフマニノフの「交響的舞曲」。つまりダブル・シンフォニック・ダンス。しかもどちらもアメリカ生まれ。なるほど、この手があったか。フルシャはけれん味のない指揮ぶりで、両曲ともにキレがあるけどズシンと重量感もあるパワフルな音楽になっていた。直線的なドライブ感。バーンスタインでは楽員たちの「マンボ!」の発声もばっちり。ここのシャウトで照れくさそうだったり渋々だったりする時代はもう終わった。ラフマニノフはスペクタクル満載の輝かしい音楽だけど、最後にドシャーンと銅鑼が鳴って、破壊的な余韻を残す。ここでしっかりと余韻を響かせながら、フルシャが客席を向いて拍手を受けるのが効果抜群。楽員退出後、少数のお客さんが拍手を続けて、フルシャのソロ・カーテンコールに。
●金曜夜の演奏会は酔客の多い帰路がやや鬱なのだが(なので終演は早めがありがたい)、雪のおかげで人が少なく平和だった。渋谷ですら穏やかに思えるほど。
February 13, 2023