●13日は紀尾井ホールで鈴木秀美指揮神戸市室内管弦楽団の東京特別演奏会。昨年、神戸文化ホールで「コジ・ファン・トゥッテ」抜粋を聴いて以来の同コンビを東京で。2021年に鈴木秀美音楽監督を迎えて今すごく元気のある楽団。プログラムが凝っている。前半がモーツァルトのセレナーデ第13番「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、セレナーデ第12番「ナハトムジーク」、後半がシュニトケの「モーツァルト・ア・ラ・ハイドン」、プロコフィエフの交響曲第1番「古典」。前半がモーツァルトで後半がモーツァルトら古典派にインスパイアされた作品という趣向。モーツァルトは弦楽器と管楽器のためのセレナーデを一曲ずつ聴けるのも吉。
●「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」では指揮者を置かず、鈴木秀美がチェロを演奏。管楽器のほうの「ナハトムジーク」ではナチュラルホルンを使用(ナチュラルホルン、ナチュラルトランペット、バロックティンパニは楽団所有なのだとか)。ともにニュアンスが豊かで精彩に富む。特に管楽器の「ナハトムジーク」の色彩感が印象的。シュニトケの「モーツァルト・ア・ラ・ハイドン」では暗闇の中から解体再構築されたモーツァルトが浮かび上がり、最後はひとりまたひとりと舞台を去り暗闇で終わるハイドン「告別」のような演出が施されている。この流れで行くと最後のプロコフィエフはハイドン流の軽快な性格が強調された演奏なのかと思いきや、むしろ豪快に鳴らしたパワフルな演奏で、鮮やかなクライマックスを築く。アンコールに「きっとプロコフィエフは知らなかった作品」というハイドンの交響曲第62番の第2楽章。古典と擬古典の行ったり来たりが楽しい。
●帰り際、神戸ワインのおみやげあり。お酒を飲まない自分には神戸ウォーター。ありがたくいただく。
February 14, 2023