February 28, 2023

SOMPO美術館 FACE展2023

SOMPO美術館 FACE展2023
●今年も新宿のSOMPO美術館の「FACE展2023」を観た。公募形式の展覧会で入賞倍率はだいたい13倍ほど。作品の多様性が魅力。ビビビッと来るものもあれば、なにがいいんだかさっぱりという作品も。「オーディエンス賞」が設定されていて、最後に自分の推しに一票入れられるという趣向も楽しい。あと、混まないので快適な空間を満喫できるのも吉。ここは建物がきれい。
SOMPO美術館 FACE展2023
●自分が特にいいなと思った作品を挙げる。まず上は「かもられ」(栁沼亜樹)。カモ好きなので。部屋の中にカルガモやマガモなどカモが何羽もいるというありえない状況に人がひとり。肌の質感など、どことなくカモ化しつつあるようでもあり、「かもられ」ているということなのか。カモはかわいい。

SOMPO美術館 FACE展2023
●一目見て強烈なインパクトを感じた「無から空へ」(西濃俊史)。この「空」は sky のほうではなく emptiness。題に反して画面の情報量は多く、混沌のなかに生命の原初的なエネルギーがうごめいている。内宇宙への旅のようにも。

SOMPO美術館 FACE展2023
●つい二度見、三度見したくなる作品。「The disappearing city III」(桜井旭)。ありふれた寂れた建物のようだが、なぜか自分はここを知っているという気持ちになる。遠い昔にこの内部に入ったことすらある、と錯覚する。中は事務所だと思う。外に置いてあるソファがなんともいえず味わい深い。座ってはいけないソファ。ノスタルジーを刺激する。

SOMPO美術館 FACE展2023
●FACE展には毎回、食欲を刺激する系の絵があるような気がする。ジューシーでおいしそう……と思って眺めていると、はっと直感する。いかん、これは危険なワナなのだ。題を見たら「amorous」(山谷菜月)。

SOMPO美術館 FACE展2023
●この作品は題が「音と香りは大気に漂う」(樺山カナヤ真理)。そう言われると、ドビュッシーの前奏曲集第1巻の同名曲を連想しないわけにはいかない。その元ネタのボードレールの詩から来ているのかもしれないけど。なんとなくドビュッシーの音楽からは寒色系の情景を思い浮かべてしまうのだが、夕暮れの情景なのでこういう色調になるのが自然。
●3月12日まで。