●7日は新国立劇場の2023/2024シーズン・ラインアップ説明会へ。今年はリモートはなく、現地で。例年のように、まずオペラ、バレエ/ダンス、演劇の3部門合わせての発表が行われ、その後、部門ごとに分かれて各芸術監督との懇談会に移るという流れ。写真は左より小川絵梨子演劇芸術監督、大野和士オペラ芸術監督、吉田都舞踊芸術監督。
●で、オペラの新シーズンラインアップをざっと記すと、開幕が「修道女アンジェリカ」&「子供と魔法」のダブルビル(新制作)、以降、「シモン・ボッカネグラ」(新制作)、「こうもり」「エウゲニ・オネーギン」「ドン・パスクワーレ」「トリスタンとイゾルデ」「椿姫」「コジ・ファン・トゥッテ」「トスカ」。コロナ禍による財政難、ロシアの戦争によるインフレといった経済的な事情により、新制作は2演目のみとなっている。これに関しては理事から説明があり、オペラ、バレエ、ダンス、演劇のそれぞれから一演目ずつ、新作を延期することになったそう。それでもオペラは新制作が2演目残ったが、バレエ/ダンスに至ってはゼロになってしまった。そして料金も改定される。とりわけエネルギー価格の上昇が大きく、苦しい決断だったという。現在の世界情勢を考えれば、すべてこれまで通りにはいかないことはわかっていたが、改めて厳しい状況にあることを実感する(同種の話をこれからいくつも目にすることになるのだろう)。
●個別の演目に目を向けると、プッチーニ「修道女アンジェリカ」&ラヴェル「子供と魔法」のダブルビルは「母と子の愛の強さ」を共通項とする組合せ。演出は粟國淳、指揮は沼尻竜典、アンジェリカにキアーラ・イゾットン。もうひとつの新制作、ヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」は、長年オランダ国立オペラを率い、エクサン・プロヴァンス音楽祭総監督も務めるピエール・オーディによる演出。大野監督が待ち望んでいた演出家で、フィンランド国立歌劇場およびテアトロ・レアルとの共同制作。新国立劇場での上演が初演となる。指揮は大野和士、題名役はロベルト・フロンターリ。
●レパートリー公演で注目度が高そうなのは、13年ぶりとなるワーグナー「トリスタンとイゾルデ」。デイヴィッド・マクヴィカー演出、大野和士指揮。ピットには都響が入る。トリスタンにトルステン・ケール、イゾルデにエヴァ=マリア・ヴェストブルック。あとはヴァンサン・ブサール演出のヴェルディ「椿姫」で中村恵理がヴィオレッタを歌う。ミキエレット演出のモーツァルト「コジ・ファン・トゥッテ」では飯森範親が指揮。「トスカ」の指揮はマウリツィオ・ベニーニ。大野監督によれば「巨匠と呼ばれる人は世に数多いけれど、彼は本当の巨匠」。
●マスク着用やブラボーのかけ声についての質問も出たが、現在検討中ということで、この時点での決定事項はなし。近々、なんらかのアナウンスがあると思う。
March 8, 2023