●東京・春・音楽祭2023が3月18日から4月16日にかけて開催中。まずは24日、東京文化会館小ホールの「福川伸陽(ホルン)&古楽の仲間たち」へ。バロック・ホルンの福川伸陽を中心に、ヴァイオリンに高田あずみ、荒木優子、丸山韶、ヴィオラに成田寛、チェロに上村文乃、コントラバスに今野京、オーボエに三宮正満、ファゴットに村上由紀子、リコーダーに太田光子、フォルテピアノに川口成彦といった日本の名古楽奏者たち。アンサンブル名はレ・ヴァン・ロマンティーク・トウキョウとなっていた。福川さんのホルンは本当に管を丸めただけのシンプルな楽器。前半に少しトークがあって楽器紹介があり、自然倍音しか出ないこと、そうすると長調の曲が多くなり、短調の曲では作曲家が一工夫しなければならないことなどが話された。フォルテピアノはアントゥーネスというポルトガルの楽器のレプリカなのだとか。音色はほとんどチェンバロみたいなんだけど、ちゃんと強弱が表現できる(デモンストレーション付き)。
●開演前にも少し演奏があったのだが、本編のプログラムは前半にヘンデルの劇付随音楽「アルチェステ」のグラン・アントレ、テレマンのリコーダー、ホルン、通奏低音のための協奏曲ヘ長調TWV42:F14、グラウンのホルン、ヴァイオリン、通奏低音のためのトリオ・ソナタ ニ長調、ボワモルティエの5声の協奏曲ホ短調、クヴァンツのホルン協奏曲変ホ長調、後半にファッシュの四重奏曲ヘ長調FaWV N:F3、ヴィヴァルディのリコーダー、オーボエ、ヴァイオリン、ファゴット、通奏低音のための協奏曲ト短調RV107、バッハのブランデンブルク協奏曲第2番。ホルンはおそらく神技級のテクニックなのだろうが、技巧の難度をまったく感じさせず、楽しさばかりが伝わってくる。アンサンブルはとてもカラフル。ホルンの音色が混じり合うというよりは、自然に溶け込むというか。
●どの曲も愉悦にあふれていたけど、こうして並べてみると最後のバッハは突きつめられた異次元の音楽だと感じる。造形の巧緻さもさることながら、パッションが並外れている。アンコールにゼレンカのカプリッチョ第3番ヘ長調より第7曲プレスト。これまた強烈。
March 28, 2023