April 5, 2023

ドイツ・グラモフォンの「ステージプラス」日本版がスタート

ドイツ・グラモフォン「ステージプラス」記者会見
●4日は東京文化会館小ホールでドイツ・グラモフォン(DG)の映像&音楽配信サービス「ステージプラス」の発表記者会見(公式サイト発表)。前夜の東京・春・音楽祭に続いてまたも上野に足を運ぶことになったが、この「ステージプラス」から東京・春・音楽祭の一部公演も配信されることになっている次第。登壇者はドイツ・グラモフォン社長のクレメンス・トラウトマン、同社コンシューマー・ビジネス担当副社長のローベルト・ツィンマーマン、ユニバーサルミュージック合同会社CEOの藤倉尚、東京・春・音楽祭実行委員会事務局長の芦田尚子、東京・春・音楽祭に出演するピアニストのヤン・リシエツキの各氏。
●「ステージプラス」は映像と音声の両方を配信するサブスクリプション・サービス。映像配信では世界の著名ホール、オペラハウスからのライブや歴史的映像が配信される。ウィーン楽友協会、アムステルダム・コンセルトヘボウ、ベルリン・フィルハーモニー、ウィーン国立歌劇場、バイロイト音楽祭、ザルツブルク音楽祭等々。ライブ配信は原則毎週あり。もちろんオンデマンド再生も可能。また、音声のみのコンテンツとしてはDGの最新アルバムから歴史的な名盤もそろう。パソコン(ブラウザ)、スマホ、タブレット等で利用可。4K、ロスレス、ドルビーアトモス対応。またライブ配信は時差も考慮して日本で見やすい時間帯での再配信もある。料金は月間プランで1990円、年間プランで19900円。無料お試しあり。「ステージプラス」(Stage+)のサービス自体はすでにスタートしているものだが、今回はその日本語版が用意されという趣旨での会見となった。コンテンツそのものは英語/ドイツ語版と日本語版は共通している。
●というわけで、いよいよクラシック音楽界最大の老舗レーベルが、サブスクリプション・サービスに本腰を入れることになり、時代の移り変わりを感じずにはいられない。このサービス、どんなふうに受け止めればよいだろうか。まず、サブスクリプションとして見れば後発のサービスだ。すでに映像でも音声でもいろんなサービスがある。一方で、完全に日本語化されているという意味では先行しているとも言える。すべてが満足に日本語で用意されている配信サービスは映像でも音声でも少ない。会見のなかでツィンマーマン氏(以前ベルリン・フィルのデジタル・コンサートホールに携わっていた人)が、「既存のサービスと違うもの作らなければならない。私たちはオーケストラでもオペラハウスでもアーティストでもない」と語っていたが、ひとつのレーベルだけで十分に魅力的なサービスを構築することができるのか、というのがカギだろう。そもそもこれは「サブスク時代にレーベルってなんだ?」という問いまで遡るわけだが。
●今回、「ステージプラス」は東京・春・音楽祭からヤン・リシエツキが矢部達哉や水谷晃と共演する4月5日の「ブラームスの室内楽Ⅹ」および4月8日のキット・アームストロングによる「鍵盤音楽年代記」を配信するそうなんだけど、実はこのローカルな路線が大事なんじゃないかという気もしている。まずはしばらく試用してみるつもり。