●5日はサントリーホールでアントネッロ・マナコルダ指揮読響。マナコルダはカンマーアカデミー・ポツダムとの録音で話題を呼んでいるが、ライブで聴くのは初めて。プログラムはハイドンの交響曲第49番「受難」とマーラーの交響曲第5番。これまでのレコーディングからハイドンは納得の選曲だが、マーラーはやや意外。もっともプロフィールを見るとレパートリーは案外広く、近現代の作品も手掛けるし、劇場ではヴェルディ「椿姫」やヤナーチェク「イェヌーファ」も振っているそう。マーラー室内管のコンサートマスターから指揮者に転身。昨年ベルリン・フィルでもデビュー。
●マナコルダは長身痩躯。前半のハイドンが出色だった。ピリオドスタイルをうまく消化しつつ、みずみずしく清澄なハイドン。チェンバロ入り。弦は対向配置。すっきりと整理されているが、情感も十分。後半は対照的に響きの洪水から生み出される鋼のマーラー。精緻な響きを設計するというよりは、要所要所のインスピレーションを大切にするように、細かなテンポ操作も盛り込みながらドラマを築き上げる。第3楽章の立奏するホルンは見事。ゆったりとした第4楽章アダージェットから、終楽章は直線的で豪快。曲が終わるやいなや悲鳴のような歓声が上がって、ブラボーが続く。好みの分かれる演奏かなと思ったが、熱心なお客さんの拍手が続いてマナコルダのソロカーテンコールへ。その後、サイン会もあったようで(会場内のCD販売もあった)、コロナ禍前の風景が戻ってきている。
April 6, 2023