April 28, 2023

パーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団のシベリウス、チャイコフスキー他

パーヴォ・ヤルヴィ NHK交響楽団
●26日夜はサントリーホールでパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団。プログラムが少し変わっていて、シベリウスの交響曲第4番、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」(マリー・アンジュ・グッチ)、チャイコフスキーの幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」。普通の演奏会とは逆で前半に交響曲があって、後半にソリストが登場して、最後は序曲じゃないけどそう遠くもない幻想曲で終わる。微妙な逆回し感。
●シベリウスの交響曲のなかで、唯一、第4番は親しみを感じづらい作品なのだが、パーヴォ&N響のキレッキレの演奏を聴いて、こんなにも輝かしい作品だったのかと目から鱗。特に弦楽器の音色がつややか。ペシミスティックな曲という印象も少し変わる。
●ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」ではマリー・アンジュ・グッチがラ・フォル・ジュルネ以来、久々に登場。2018年のラ・フォル・ジュルネでルネ・マルタンが強力プッシュしていたアーティストで、そのときはまだ本当に若くて、超優秀な大学院生がステージに立ってます的な素朴な雰囲気を感じたけど、5年経ったら立派なアーティストになってN響に帰ってきた。ラ・フォル・ジュルネで無名時代に出会って、その後、N響定期で帰ってくるというおなじみのパターン。ルネ・マルタンの慧眼。そしてグッチは知的なピアニストという印象は以前と同じだけど、雰囲気はすっかり垢抜けていて、アーティストらしくなった。メカニックにも感傷にも傾かない、ていねいで音楽の流れを大切にしたラフマニノフ。盛大な拍手が起きたがソリスト・アンコールはなし。チャイコフスキーの幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」は切れ味鋭く、激烈。
●グッチはアルバニア生まれのフランスのピアニストで綴りはNguci。2018年のナントのラ・フォル・ジュルネのプレスツアーで、読み方がわからなくてカナ表記をどうすればよいのかという話になって、本人に発音を確認したら「あの有名ブランドと同じ発音ですよ」という答えが返ってきて、「グッチ」の表記で落ち着いた。もしかしたら「ングチ」みたいな「ン」から始まる系のアーティスト名が誕生するのかと思ったら、そうはならず。ちなみに(関係ないけど)Jリーグではすでにンドカ・ボニフェイス(横浜FC/埼玉県出身)のように「ン」から始まるJリーガーがすでに活躍している(→先日のJ1初ゴール)。