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May 8, 2023

バッハ・コレギウム・ジャパンのヘンデル「復活」

●7日は東京オペラシティでバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)定期演奏会。ヘンデルのオラトリオ「復活」を鈴木優人の指揮で。ソプラノに中江早希、キャロリン・サンプソン、アルトにマリアンネ・ベアーテ・キーラント、テノールに櫻田亮、バスに加耒徹。BCJは前回、バッハの「マタイ受難曲」を聴いたわけだが、イエスの受難から復活へとストーリー的にはつながっていることになる。
●が、音楽はさまざまな点で「マタイ」とは対照的。バッハの敬虔さに対し、ヘンデルはきわめてエンタテインメント性が高い。そもそもバッハは受難を描いているのに対して、ヘンデルは喜びにあふれた復活を描いており、ひたすらハッピーなのだ。登場人物で唯一、悪役であるルチーフェロ(加耒徹)ですらどこかコミカルで、道化役に近い扱い。天使(中江早希)との対決シーンも楽しい。そして、オラトリオと名付けられてはいるものの、合唱の出番はごくわずかで、歌手それぞれに一役があてがわれており、ほとんどオペラ。歌手陣の魅力をたっぷり楽しめて、なおかつオーケストラはソロの聴かせどころが数多く用意されていてサービス精神満点。管楽器も大活躍でカラフル。ヘンデルのイタリア時代の作品にはなじみが薄かったのだが、この祝祭感は際立っている。さすがに後の有名作ほどのキャッチーさはないにせよ、若き日のヘンデルの充実ぶりが伝わってくる。
●ジョヴァンニってヨハネのことなんすね、イタリア語だから。ルチーフェロはルシファー。
●復活したイエスに対して、マッダレーナが傷に口づけしようとしたら、イエスは「私に触れてはいけない」と言って姿を消す場面がある。ここの場面って、もし触ろうとしたら触れるんすかね。つまり復活後のイエスには物理的な実体があるのか、それとも魂だけの霊体なのか(ルーク・スカイウォーカーの前に現れたオビ=ワンみたいに)。