●14日は東京芸術劇場で沖澤のどか指揮読響。プログラムが魅力的で、エルガーのヴァイオリン協奏曲(三浦文彰)、ワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」前奏曲、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「死と変容」。後半のワーグナーとシュトラウスは間を置かずにつなげて演奏すると事前発表あり。おもしろい。傑作として名高いわりになかなか演奏されないエルガーを聴けるのも吉。エルガーのヴァイオリン協奏曲は一般的な協奏曲の2倍近い長さがあるので、プログラムに乗りにくいのも無理はないか。三浦文彰の独奏は輝かしい音色で、じっくりと50分ほどかけた演奏。
●後半、ワーグナーになると読響はぐっと手の内に入った音楽といった様子。沖澤の明快な棒にリードされ、自然体で白熱する音楽に。ワーグナー+シュトラウスのダブル・リヒャルト連続演奏は大成功だったと思う。両曲をつなげて演奏することはなんどもアナウンスされていたので、拍手も出ず(アナウンスがなくても出ないとは思うが)、スムーズにつながった。普通なら「トリスタンとイゾルデ」前奏曲には「愛の死」が続くところで、シュトラウスの「死と変容」がはじまる。見方はいくつもある。一段と大きくなった愛と死のドラマとして聴くこともできるだろうし、逆に「死と変容」の官能性に着目して、これも超越的な愛の音楽と解して聴くこともできる。自分は後者で、全体を愛の音楽として堪能した。こういったキュレーションは大歓迎。
●先日の「エレクトラ」の後で聴く「死と変容」。まっすぐな青春の音楽って感じがする。
May 16, 2023