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May 18, 2023

「クスクスの謎」(にむらじゅんこ著/平凡社新書)

●最近、クスクスを家に常備するようになった。なぜ今まで、こんなに手軽でおいしいものを食べていなかったのか。ご飯、スパゲッティ、蕎麦、うどんなどと並んで、主食のラインナップに加わりそう。クスクスはデュラム小麦を用いた粒パスタ。だから基本的にスパゲッティと同じような食べ方ができると思っているのだが、調理が圧倒的に楽なのがいい。スパゲッティなどロングパスタは大量のお湯を沸かして、そこで7分前後茹でるのに対して、クスクスは食べる分量と同量のお湯をかけて、数分放置するだけ。お湯で戻したら、オリーブオイルと塩をかける。戻すのも楽だし、後片付けも楽なので、ふだんのランチにちょうどいい。食べ方は無数にあるようだが、今のところ、スパゲッティ用のソースと合わせている。スパゲッティを食べるときと同じように、トマトソースやガーリックオイル系のソースを作れば、麺を茹でる必要がない分、手間が減るし、なんならレトルトのソースでもいい。
●で、これは本当はどういうふうに食べるものなのか気になって、手に取ったのが「クスクスの謎」(にむらじゅんこ著/平凡社新書)。クスクスがどういう食べ物で、どこから来て、どんなふうに広まり、どう食べられているのかが記されている。レシピ集ではなく、読んでおもしろい本。もともとアルジェリア、モロッコ、チュニジアといったマグレブ諸国で食べられていたクスクスがヨーロッパにわたり、フランスでは国民食といえるほど食べられている(著者はフランス在住)のに対し、イベリア半島では消えたとか、実に興味深い。
●いろんな国でいろんな食べ方がされているので、日本では日本なりの家庭の食べ方があってもいいわけで、もしかするとご飯オルタナティブな食べ方もあり得ると思った(最近、オートミールがそんな位置づけになりつつあるが)。ご飯の代わりにクスクスでカレーくらいは大ありだと思うが、卵かけクスクスとか、納豆クスクスもあり得るのかも?
●クスクスと関係ないけど、この本でひとつ知ったこと。ショートパスタの「マカロニ」とお菓子の「マカロン」は同じ語源。フランスでは17世紀頃まではどちらも「マカロン」と呼ばれていたのだとか。片や乾燥させ茹でるもの、片や甘いものだけど、加熱前はどちらもパスタ(ペースト)。