●9日はムジカーザで第2回ショパン国際ピリオド楽器コンクールの記者会見。2023年10月にワルシャワで開催される同コンクールに先立って、主催者の国立ショパン研究所(NIFC)からアルトゥル・シュクレネル所長、ヨアンナ・ボクシチャニンNIFCコンクール担当チーフ、アデリーナ・クモー広報チーフが登壇。さらに2018年に開催された第1回コンクールの第1位トマシュ・リッテル、同第2位の川口成彦の各氏も参加し、演奏も披露してくれるという手厚い会見だった。
●主催者は本家ショパン・コンクールと同じ国立ショパン研究所(NIFC)。ショパンの音楽は当時の楽器と分かちがたく結びついているという前提のもと、ピリオド楽器によるコンクールを始めたのが2018年。NIFCはピリオド楽器の収集にも力を入れており、これらを用いたレコーディングも行っている。今回のコンクールでは、NIFC所蔵のヒストリカル・ピアノ(エラール、プレイエル、ブロードウッド)とそのレプリカ、さらに欧州内の提携コレクションより提供を受けた楽器が使用される。
●コンクールの審査は3段階に分かれている。もちろん各ステージでショパンの作品から課題曲が選ばれているのだが、第1ステージではバッハ、モーツァルト、クルピンスキ、エルスネルらの作品も課題曲に含まれる。ファイナルはオーケストラとの共演で、2つのピアノ協奏曲のどちらか、あるいは「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」変奏曲、ポーランドの歌による幻想曲、ロンド・ア・ラ・クラコヴィアクのなかから2曲を選ぶ。
●ちなみに今回、応募者でいちばん多いのは日本からの23名なのだとか。次いでポーランドから15名。映像審査を経て、7月に本選の参加者が発表される。
●トマシュ・リッテル、川口成彦のおふたりがプレイエル(1843)を用いてそれぞれソロでショパンを2曲ずつ、さらにシューベルトで連弾も弾いてくれた(2つの性格的行進曲D886の第1番、だったかな?)。色彩感豊かで、コンパクトな空間で近距離で聴けたのでダイナミクスも十分。ぜいたくな環境で堪能。それぞれ会見では前回のコンクールの思い出なども語ってくれた。リッテル「コンクールは特別な思い出。それまでに出場してきたコンクールとは異なる未知の雰囲気を感じた。難しかったのは楽器選択。各楽器が固有の色を持っており、楽器を選んだ時点で音楽性が決まってしまうようなところがあった」。川口「前回コンクールは楽しい思い出。その前から古楽器のコンクールをいくつか受けており、主にモーツァルトら古典派の音楽にフォーカスしていたが、ロマン派に集中して取り組む人生のターニングポイントになった」
●コンクールはすべてライブ&アーカイブ配信あり。
June 12, 2023