June 13, 2023

[配信] ラデク・バボラークの個展'23~若き音楽仲間とともに サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン

●11日はサントリーホールのチェンバーミュージック・ガーデン「ラデク・バボラークの個展'23~若き音楽仲間とともに」をオンライン配信で。非常に魅力的な公演なのに外出の都合がつかない日だったので、ありがたく文明の利器に頼る。ライブ&リピート配信あり(→デジタルサントリーホール)。
●ホルンのラデク・バボラークを中心にフルートの瀧本実里、オーボエの荒木奏美、クラリネットのコハーン・イシュトヴァーン、ファゴットのミハエラ・シュパチュコヴァー、それにサントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローによる弦楽合奏が加わった強力メンバーによる室内楽。ライヒャの木管五重奏曲ニ長調作品91-3、モーツァルトのホルン五重奏曲変ホ長調、タファネルの木管五重奏曲ト短調、パガニーニのコンチェルティーノ(ファゴット、ホルンと弦楽合奏による)、モーツァルトのアダージョ ハ長調K.Anh.94 (580a)、ドニゼッティ(ルロワール編曲)のオーボエ・ソナタ へ長調(ホルンと室内アンサンブル版)。バボラークはまろやかな音色で、まるで歌うようにホルンを吹く。そして、とにかく楽しそう。弦楽合奏が加わる後半では指揮も兼ねる。オーボエやフルートもすばらしいが、なにしろこれは「バボラークの個展」なのだから主役はホルン。これだけ吹きっぱなしで安定しているのもすごい。そして、喜びにあふれたバボラークの姿を見ていると、この充足感はどんなすばらしいオーケストラで吹いても味わえないものだろうと察する。
●モーツァルトのアダージョ ハ長調は珍しい曲。オーボエ奏者のレパートリーかと思ったら、バボラークはレコーディングもしているのだった。リラックスして聴ける作品がほとんどだったが、この曲は神々しい。
●配信で観ると、情報量の多さにギクリとすることがある。奏者の息づかいまで聞こえるような生々しい音。あるいは「近い音」というべきか。映像も会場では見えないところまで見せてくれる。個人的にはモニターはなんでもいいけど、よいヘッドフォンは必須だと思う(よいヘッドフォン=好みの音のヘッドフォン)。