●22日は東京オペラシティでラデク・バボラーク指揮山形交響楽団。先日、サントリーホールのチェンバーミュージックガーデンでも演奏していたバボラークをふたたび。山響ではかつて首席客演指揮者を務めており、現在は「ミュージック・パートナー」という肩書。プログラムは前半にスメタナの連作交響詩「わが祖国」第6曲「ブラニーク」、モーツァルトのホルン協奏曲第3番、ドニゼッティのホルン協奏曲、後半にドヴォルザークの交響曲第8番。バボラークにとってのお国ものであるチェコ音楽を指揮しつつ、協奏曲で自らの妙技も披露するという構成。客席はほとんど埋まっている。プログラムノートに「当たり」シールがついていると、山形の名産品さくらんぼがプレゼントされる趣向。さらにオペラシティのロビーが「山形物産展」になっていて、おいしそうなものがずらりと並んでいる。大賑わい。プレコンサート・トークで、バボラークが法被姿であらわれて山形推し。
●演奏会の最初がスメタナ「ブラニーク」。なんというか、いきなり連続ドラマの最終回で始まったみたいな趣。でも「わが祖国」は「モルダウ」以外も単独で演奏されるべきだと思っているので大歓迎。これにモーツァルトのホルン協奏曲第3番が続くのだが、管楽器がクラリネットとファゴットのみのやや珍しい編成なので、クラリネットによるチューニングが聴ける。バボラークはリラックスして自在のソロ。譜面台を前ではなく右において、しばしば半身になって吹く。ドニゼッティのホルン協奏曲は5分ほどの小品で、いわば予告されたアンコールみたいなもの。曲調はまるっきりドニゼッティのオペラ・アリア。これを歌うかのようにホルンで吹くのがバボラーク。「楽器を操作している」という感じがしない。おしまいのドヴォルザークは音楽の流れがしなやか。スペクタクルというよりは、ゆったりした部分の情感豊かさに味わい。バボラークの棒も堂に入ったもの。やっぱりホルンへのキュー多め。アンコールはスラヴ舞曲第2集第7番。バボラークは終始上機嫌で、オーケストラのメンバーをねぎらう姿も印象的。
●帰り際におみやげとして全員にシベールのラスクとでん六の「味のこだわり」の小袋が渡される。どちらも山形の企業。地元スポンサーの熱心な応援ぶりが伝わってくる。帰宅してすぐラスクを食べる。おいしい。
June 23, 2023