●14日はサントリーホールでアラン・ギルバート指揮都響。プログラムは前半にニールセンの序曲「ヘリオス」と交響曲第5番、後半にラフマニノフのピアノ協奏曲第3番(キリル・ゲルシュタイン)。ふつうであればニールセンの交響曲第5番が後半に置かれそうなものだが、ゲルシュタインのラフマニノフで締めるプログラム。ダブル・メインプログラムのような感。
●前半のニールセンは澄明さと力強さを兼ね備えたサウンドによる壮麗なスペクタクル。ニールセンの交響曲第5番は比較的最近、上岡敏之指揮読響の名演が記憶に新しいところだけど、方向性はずいぶん違う。戦争交響曲的な時代背景よりも、精緻な音の構築物としての魅力やオーケストラの機能美を強く感じる。明るい「ヘリオス」とセットで聴いたせいもあるかも。前半から客席は大喝采。
●後半はゲルシュタインによる稀有なラフマニノフ。速めのテンポで打鍵は強靭明快ながら、ヴィルトゥオジティにもロマンティシズムにも依存せず、ずしりとした構築感による剛健な音楽。オーケストラが伴奏に留まらず、細部まで彫琢され雄弁で、ソリストと有機的にかみ合っている。なかなかこうはいかない。こちらも客席はわいた。アンコールはなし(なくていいと思う)。
●ゲストコンサートマスターが元東響の水谷晃さん。東響と都響はだいぶカラーが違いそうだけど、のびのびとオーケストラを率いているようで、なんというか、落ち着く。
●おまけ。ラフマニノフ、マチス風。AI画伯Stable Diffusion作。
July 18, 2023