●映画館での上映を見逃してしまったので、Amazon Primeで「シン・仮面ライダー」(庵野秀明監督)を観た。うーむ、これはなんと言ったらいいのか……。NHKで「シン・仮面ライダー」制作現場に密着したドキュメンタリーがあったが、あの番組から予想したものとはぜんぜん違っていてびっくり。番組では様式化されたヒーロー・アクションの否定に焦点が当たっていたと思ったけど、肝はそこじゃなかったというか。少年時代にテレビシリーズで仮面ライダー1号、2号の活躍に熱狂し、ライダーベルトのおもちゃを腰に巻き、日々変身ポーズをとっていた自分であるが、この映画がテレビシリーズよりは石ノ森章太郎による漫画版の世界観を受け継いでいることは承知していた。ただ、ライダーがショッカーの戦闘員たちと戦う場面でこれでもかと血が飛び散る描写を目にして、これは自分の求めるスタイルとは違うんだなということはわかった。駆け足で進むストーリー展開に置いてきぼりをくらう。登場人物が自分の心情を独り言として説明する演出もしんどかった。
●そんなわけでストーリーにはついていけなかったのだが、鳥肌ものの場面はいくつもあって、ライダーは本当にカッコいい。原典を尊重しつつ、造形もアクションも「シン」の名にふさわしく進化している。サイクロン号もすごい。最後に一文字隼人が政府関係者のふたりの男と会話する場面には「うおお!」とのけぞった。そこがいちばんのハイライトだったかも。
July 26, 2023