July 27, 2023

東京都現代美術館の「デイヴィッド・ホックニー展」

東京都現代美術館 デイヴィッド・ホックニー展 「ノルマンディーの12か月」一部
●燃えるような暑さのなか、東京都現代美術館で開催中の「デイヴィッド・ホックニー展」へ(7/15~11/5)。イギリスとロサンゼルスで制作された多数の代表作に加えて、コロナ禍のロックダウン中にiPadで描かれた最新作まで、約120点が集められた大規模個展。ホックニーはオペラの舞台美術でも名前を聴くアーティストなので、クラシック音楽ファンには親しみを感じる方も多いのでは。ロサンゼルス時代の明るく鮮やかで光や水のイメージにあふれた作品群や、身近な人々のさまざまな肖像画、ピカソに触発された逆遠近法による作品、そしてiPadなどテクノロジーの力を存分に活用した近年の大作など、どのコーナーを見ても圧倒される。とりわけ魅了されるのは、春を題材とした作品のうららかさ、輝かしさ、楽しさ。その一方で、心がざわざわするような要素もあちこちに潜んでいる(たとえば「クラーク夫妻とパーシー」に)。
●で、そのロックダウン中にiPadで描かれたという「ノルマンディーの12か月」がすごくて、なんと全長90メートルもあるんすよ! 季節の移り変わりを90メートルかけて表現している。で、どうやって展示するかというと、直線距離で90メートルは無理だから、展示室をぐるりと回る形になっていて、これを一周歩くことで四季を体験できる。季節は巡るものなので、ワタシは二周した。
東京都現代美術館 デイヴィッド・ホックニー展 「ノルマンディーの12か月」一部

東京都現代美術館 デイヴィッド・ホックニー展 「ノルマンディーの12か月」一部

東京都現代美術館 デイヴィッド・ホックニー展 「ノルマンディーの12か月」一部

●こんなふうに長~い絵で、まるでアトラクションに参加しているような鑑賞体験を楽しめる。本記事冒頭に掲げたのはこの作品の一部分。90メートルのどこを見てもワクワクする。ホックニーはいま86歳だっていうんだけど、とてつもない創作力。