●24日はサントリーホールサマーフェスティバル。二日続けて「サマーフェスティバル」と題された公演に足を運んだことに気づく。この日は今年のテーマ作曲家、オーストリアのオルガ・ノイヴィルトの作品を中心とした「オーケストラ・ポートレート」。マティアス・ピンチャー指揮東響で、前半にヤコブ・ミュールラッドの「REMS」(短縮版)世界初演、ノイヴィルトの「オルランド・ワールド」(サントリーホール委嘱/世界初演)、後半にノイヴィルトの「旅/針のない時計」、スクリャービンの「法悦の詩」。
●ミュールラッドの「REMS」は原曲を4分の1に縮めた短縮版なのだとか。REMはレム睡眠のレムを指しているそうで、冒頭から瞑想的な楽想がうねうねと続いて、本当にレム睡眠に誘われてしまいそうだが、終盤に頂点を築く。ノイヴィルトの「オルランド・ワールド」ではメゾ・ソプラノのヴィルピ・ライサネンの歌唱入り。もともと「オルランド」というオペラがあって、そこから編まれた組曲ということで、歌手がオルランド役を歌い、途中でスカートを履いて性別の変更が示唆されたりするのだが、もとのオペラを知らず、字幕もないので、まったく文脈がわからないまま音響のみを聴いたという状況。後半、ノイヴィルト「旅/針のない時計」は時が刻まれるなか、多数の引用がちりばめられた音の旅といった趣。イベントが次々起こるという点では聴きやすいけど、新味は感じないかな。最後のスクリャービン「法悦の詩」は名演。官能的というよりは明快でカラフル。オーケストレーションの巧みさに圧倒される。
●会場におもしろそうなものがあったので。「現代音楽クイズにLINEで挑戦!」。サントリーホールに降臨したクイズ王伊沢拓司。
August 25, 2023