amazon
September 1, 2023

「デビュー50周年記念! スティーヴン・キングを50倍愉しむ本」(文春e-Books)

●なんと、この電子書籍は無料でゲットできるのだ、「デビュー50周年記念! スティーヴン・キングを50倍愉しむ本」(文春e-Books)。もちろん、スマホでもPCでもKindle専用リーダーでも読める。来年、スティーヴン・キングが作家デビュー50周年を迎えるということで、新作のプロモーションも兼ねて発行された模様。キング・ファンにもキング入門者にも便利なガイドブックになっており、しかも、ここでしか読めない短篇がひとつ収められている。「ローリー」と題された短篇で、これがなかなかよい。どういう話か、なにも知らないほうが楽しめると思うけど、差しさわりのない範囲でいえば「犬小説」。犬好きが読んでも問題ない内容とだけは言っておこう。
●あと、おもしろいなと思ったのは「一目でわかる、キング代表作マトリックス」という図。横軸が「エモい⇔怖い」、縦軸が「リアル⇔幻想と怪奇」になっていて、主要作品が座標平面に配置されている。たとえば第1象限のもっともリアルでもっとも怖いに置かれているのが「ミザリー」。座標の原点には「IT」が配置されている。納得。で、気がついたのだが、自分が好きなキング作品は、横軸で見ると「怖い」の最大部分に偏っており、縦軸で見ると「リアル」から「幻想と怪奇」まで偏りなく分布している。つまり、自分はホラー作家としてのキングに惹かれていることになるのだが、そんなつもりはなかったので驚く。たしかにキングは「モダンホラーの帝王」だけど、彼の魅力は「怖い」ところにあるのではぜんぜんないし、自分はホラーが特段好きではない。
●具体的に好きなキング作品ベスト5を挙げるとしたら、なんだろうか。「シャイニング」「キャリー」「ミザリー」「ニードフル・シングス」「呪われた町」あたりか。近作は読んでいないので、どうしても過去の名作ばかりになる。先日も書いたけど、「シャイニング」はキューブリックの映画よりキングの原作がオススメ。