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September 26, 2023

庄司紗矢香、モディリアーニ弦楽四重奏団、ベンジャミン・グローヴナー「フランスの風」

●25日はサントリーホールへ。ヴァイオリンの庄司紗矢香にモディリアーニ弦楽四重奏団、ピアノのベンジャミン・グローヴナーが加わった「フランスの風」と題された室内楽プログラム。かなりユニークなプログラムで、前半が武満徹「妖精の距離」、ドビュッシーのヴァイオリン・ソナタ、ラヴェルの弦楽四重奏曲、後半がショーソンの「ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲」。このショーソンを演奏するために、ヴァイオリニスト、ピアニスト、弦楽四重奏が必要になる。なんというぜいたくプロ。珍しい曲だが(というか、珍しい曲だからこそ)客席はよく埋まっていた。
●なんかこのプログラムと出演者って、「ラ・フォル・ジュルネ」味がないっすか。実際、ワタシはショーソンの「ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲」を聴くのがこれで3度目だと思うのだが、過去2回は「ラ・フォル・ジュルネ」で聴いたし、そのときもモディリアーニ弦楽四重奏団が出演していたと思う(他の演奏者は違ってたけど)。売り出し中の頃は若手4人組扱いだったパリのモディリアーニ弦楽四重奏団も今や創設20年を迎えて成熟。
●最初、武満徹「妖精の距離」の演奏に先立って、武満が作曲にあたって着想を得た瀧口修造の同名詩を大竹直が朗読。これはありがたい。前半も庄司紗矢香の芯のある濃密な音色や繊細なモディリアーニ弦楽四重奏団を堪能したが、やはり後半のショーソンのインパクトが抜群。なんという陰鬱なロマンティシズム。最高だ。半ばワーグナー的な巨大な音楽世界を室内楽編成で実現してしまう編成の妙。ピアノ五重奏でもなく弦楽五重奏でもない不思議な編成だなと思っていたけど、こうして聴くとやっぱりこれはヴァイオリン・コンチェルトなんだなと納得。雄弁な表現力を持った独奏ヴァイオリニストを前提とする傑作なのだなと実感する。