●いやー、もうマリノスはよれよれになりながら全力を尽くしている。週末、首位神戸との天王山では完敗。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)でも初戦のインチョン(仁川)戦に負けた。Jリーグ、ACL、ルヴァンカップと試合数が多く、過密日程が続くのだが、めっきり選手層が薄くなってしまったので戦力を保てないのだ。だが、これはわかっていたこと。マリノスというチームは投資を回収する局面に入っている。一頃、マリノスはほぼすぺてのポジションにレギュラークラスの選手を複数そろえて、分厚い選手層でリーグを制覇した。そこまでは投資。その後、売れる選手をどんどん売り、代わりにそこまで高額ではない選手たちを補充した。選手層は薄い。武器はこれまでに積み上げてきた「マリノスのサッカー」という看板だ。
●で、昨晩はACLのアウェイ山東泰山戦。DAZNで観戦。場内の雰囲気は完全アウェイ、UAEの審判もすっかりその空気に飲まれている様子。マリノスは神戸戦から中三日、中国まで移動しての試合。できれば完全ターンオーバーで選手を入れ替えたいが、そこまでの選手層はなく、エウベルや山根陸、松原健、角田涼太朗らが連戦に臨む。キーパーは一森純。ターンオーバー勢はトップの植中朝日、中盤のナム・テヒ、吉尾海夏、水沼宏太、ディフェンスの加藤聖、上島拓巳。果敢に立ち向かった。
●山東泰山のサッカーはまったくJリーグでは見かけないタイプ。前線に長身のフェライニがいる。あの元ベルギー代表のフェライニだ。かつてと比べればフィジカルはだいぶ緩んだようだが、強さ、高さは健在。これにやはり強くて巧いブラジル人選手たちが加わり、攻撃はすべて助っ人勢におまかせ。前線の選手はあまり守備をしないし、運動量も乏しい。したがって、マリノスはリーグ戦と異なり、プレスに苦しまずにビルドアップができる。びっくりするほど中盤にスペースがある。が、相手は前線めがけてボールを入れれば個の力でなんとかなってしまうわけで、まったく油断ができない。37分、エウベルがワンツーで抜け出して中央に入れたボールに水沼が合わせて先制ゴール。その後はお互いに決定機がいくつもあったが、ギリギリのところでゴールにならず。最後はマリノスがひたすら耐えて、1点を守り切った。がまんの試合。山東泰山 0対1 マリノス。ハイライト映像はこちら。
●厳しいスケジュール、不安定な主審の笛、異様な場内の雰囲気。それでも勝利したマリノスは立派というほかない。植中朝日、一見、線が細そうだが、気持ちは強そう。松原健の魂のフットボールも熱い。ナム・テヒはまだまだマリノスの戦術にフィットしていないが、これからが本領発揮だ。上島、角田もよく守った。エウベルはやはり頼りになる。水沼宏太はヒーローだった。
October 4, 2023