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October 27, 2023

鈴村真貴子 ピアノリサイタル プーランク没後60年によせて

●26日は王子ホールで鈴村真貴子ピアノリサイタル。プーランク没後60年によせて組まれたオール・プーランク・プログラム。鈴村はプーランク研究と演奏で東京藝術大学で博士号を取得したピアニスト。プログラムは前半が「3つの常動曲」「村人たち 子どものための小品集」「2つの間奏曲」「フランセーズ クロード・ジェルヴェーズ(16世紀)による」「夜想曲集」、後半が「ワルツ 絹の音楽より」「メランコリー」「ナゼルの夕べ」。プーランク作品をこれだけまとめて聴ける機会は貴重。プーランクのスペシャリストにとって自家薬籠中のレパートリーだろうが、音楽はみずみずしくフレッシュ。全編にわたり精彩に富む。この作曲家ならではの機知や諧謔、饒舌、倦怠などを存分に楽しむ。戯れているようだったりシリアスだったり、表情は多彩だけど、こうして聴くとむしろある種の一貫性を感じる。含羞、といえばいいのかな。
●「夜想曲集」の「幻の舞踏会」の気だるさがたまらない。「ナゼルの夕べ」は作曲者の友人たちの音の肖像であるという点で、エルガー「エニグマ変奏曲」を思わせる曲集。その友人たちの人物像を知らずに聴くしかないわけだけど、交響詩的な物語性も感じる。
●オール・プーランク・プログラム、前にも同じ場所、同じ奏者で聴いたはずだよな……と思って確かめてみたら、あれはプーランク没後50周年記念だったのか! 10年って短いような、長いような。