●30日、東京文化会館小ホールで「東京・春・音楽祭2024」概要発表会へ。同音楽祭は2024年で節目の第20回を迎える。鈴木幸一実行委員長は、この夏のバイロイト音楽祭の「パルジファル」で導入されたAR(拡張現実)グラスや、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場での新作オペラ「デッドマン・ウォーキング」といったオペラ界の新しい試みについての話題を挙げながら、「20年を次のステップに向かうひとつの区切りとして、今後クラシック音楽がどうなってゆくかを考えながら持続、発展させていきたい」と語った。また、同席した野平一郎東京文化会館音楽監督は、今回、アンサンブル・アンテルコンタンポランが招かれることについて「大きな楽しみ」と述べた。
●で、全体のプログラム一覧はこちら。なんと、演奏会形式のオペラが4演目もある。看板企画の「ワーグナー・シリーズ」は、ヤノフスキ指揮N響で「トリスタンとイゾルデ」。毎回すごいことになるムーティ指揮東京春祭オーケストラはヴェルディ「アイーダ」(ちなみに恒例の「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」は別途9月に開かれることに)。「プッチーニ・シリーズ」はピエール・ジョルジョ・モランディ指揮東京交響楽団で「ラ・ボエーム」。オケが東響というところに注目。で、読響はヴァイグレ指揮でシュトラウス「エレクトラ」。コロナ禍で中止になった読響の公演が「東京・春・音楽祭」で復活する形になった。
●全体の聴きどころについては「ぶらあぼ」で執筆する予定だが、ほかにもヤノフスキ指揮N響の「ニーベルングの指環」ガラ、前述のアンサンブル・アンテルコンタンポラン2夜連続公演など、目をひく公演が多数。ブルックナー生誕200年ということで、ローター・ケーニヒス指揮都響&東京オペラシンガーズによるブルックナーのミサ曲第3番、シェーンベルク生誕150年によせてディオティマ弦楽四重奏団によるシェーンベルク弦楽四重奏曲全曲演奏会もある(これは6時間かけて一日で全部やるというすさまじい企画)。
●すでに各所で話題になっているが、「東京・春・音楽祭」の「トリスタンとイゾルデ」(3月27日、30日)の時期、新国立劇場でも「トリスタンとイゾルデ」が上演される(3月14日、17日、20日、23日、26日、29日。こちらは大野和士指揮都響)。たまたま時期が重なってしまったのだが、奇跡的に(?)日は重なっていない。連日「トリスタンとイゾルデ」を聴く猛者が出現するかもしれない。
November 2, 2023