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November 13, 2023

ゲルゲイ・マダラシュ指揮NHK交響楽団と阪田知樹のハンガリー音楽プロ

ゲルゲイ・マダラシュ指揮NHK交響楽団
●10日はNHKホールでゲルゲイ・マダラシュ指揮N響のオール・ハンガリー・プログラム。C定期なので開演は19時30分(休憩なし)と遅いのだが、開演前の室内楽が18時45分からあるので(出入り自由)、これを聴こうと思ったら、いつもとほぼ同じ時間になる。早く来てもいいし、遅く来てもいいわけだ。この日は開演前の室内楽が本編のハンガリー音楽プロに合わせて、ヴェレシュのヴァイオリンとチェロのためのソナチネから第3楽章、コダーイのヴァイオリンとチェロのための二重奏曲作品7から第1楽章。ヴァイオリンは郷古廉、チェロは宮坂拡志。ふだんはなかなか聴けない作品なので、ありがたし。
●で、本編はバルトークの「ハンガリーの風景」、リストの「ハンガリー幻想曲」(阪田知樹)、コダーイの組曲「ハーリ・ヤーノシュ」。指揮のマダラシュはハンガリー出身というだけではなく、幼少時にハンガリー・ロマ民族の伝統を受け継いだ農民音楽家たちに学んだという経歴の持主だけあって、テンポの動かし方ひとつとっても、これこそ(きっと)本物という説得力がある。とりわけ「ハンガリーの風景」は濃厚。N響からひきしまった明るめのサウンドを引き出し、「ハーリ・ヤーノシュ」は爽快。ツィンバロンは斉藤浩。この曲の主役。それから。オーボエは池田昭子さんが首席代行。ハッとするような甘美な音色が聞こえてきた。
●「ハンガリー幻想曲」では阪田知樹の冴え冴えとしたソロが聴きもの。キレの鋭さと強靭さをあわせ持つ。この曲だけではあまりに短いと思ったが、ソリスト・アンコールでバルトークの「3つのチーク県の民謡」を弾いてくれた。古くて新しく、土臭くてモダン。これで開演前の室内楽を含めて、すべてハンガリー音楽一色に。この曲、少し前にアンデルシェフスキのアンコールでも聴いたけど、そのときの訳題は「シク地方の3つの民謡」だった(と、わざわざ書くのは、どちらで検索してもヒットするようにするため)。
●NHKホール、だいたい原宿駅から歩くのだが、帰路は久々に渋谷駅まで歩いてみた。夜の渋谷、以前と少し雰囲気が違って、外国人旅行者だらけになっている。というか、昼の東京もどこに行ってもそんな感じではあるのだが。