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December 1, 2023

佐藤晴真 チェロ・リサイタル ベートーヴェン、シューマン、バッハ

●30日は紀尾井ホールで佐藤晴真チェロ・リサイタル。佐藤晴真は2019年ミュンヘン国際音楽コンクールの優勝者。これまでに協奏曲等でなんどか聴いているが、リサイタルに足を運んだのは初めて。ピアノは佐藤卓史。佐藤デュオだ。プログラムは前半がベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番イ長調、シューマンの幻想小曲集op73、後半がバッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第3番ト短調、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ第5番ニ長調。直球ど真ん中のドイツ音楽プロ。理想的なサイズと音響のホールで、のびやかで温かみのあるチェロの音色を堪能。端正な造形と、みずみずしく自然な音楽の流れが魅力。前半のイ長調/イ短調プロもよかったが、後半がより印象に残った。バッハはモダンなスタイルで潤い豊か。最後のベートーヴェンのチェロ・ソナタ第5番は一段とスケールの大きな音楽になって、荘厳。終楽章のフーガが圧巻だった。ピアノ・ソナタや弦楽四重奏曲と同じようにベートーヴェン後期特有の玄妙な世界がチェリストにも用意されているという幸運。
●アンコールはシューマンの「献呈」。最後は開放的な気分で終わる。アンコール前のトークで、ピアニストを紹介する際に「同じ佐藤ですけど兄弟ではありません」と話して、客席に笑いが漏れた。それで思い出したんだけど、前にヴァイオリンの佐藤俊介と佐藤卓史のデュオがあったと思うんすよ。ほかにも佐藤姓の音楽家はいっぱいいるから、佐藤さんだけでオーケストラを組めないだろうか。指揮は佐藤正浩で。オーケストラの名前はサトウ・キネン・オーケストラ。