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January 29, 2024

カーチュン・ウォン指揮日本フィルのプーランク、マクフィー、ドビュッシー他

カーチュン・ウォン指揮日本フィル
●26日はサントリーホールでカーチュン・ウォン指揮日本フィル。これまでもアジアを意識したプログラムを組んできた同コンビだが、今回は「ガムラン」がテーマ。カンボジア生まれのアメリカの作曲家チナリー・ウンの「グランド・スパイラル」(日本初演)、プーランクの2台のピアノのための協奏曲(児玉麻里、児玉桃)、バリ島に滞在したカナダの作曲家コリン・マクフィーの「タブー・タブーアン──オーケストラと2台ピアノのためのトッカータ」、ドビュッシーの交響詩「海」という凝ったプログラム。テーマ設定もさることながら、純粋に聴いて楽しく、爽快感のある選曲になっているのが吉。
●最初、プログラムを見て、休憩がどこに入るのかなと思った。ドビュッシーの前ってこと? いやいや、プーランクとコリン・マクフィーの間なんすよ。つまり、2台ピアノの曲が前後半に分かれた。ということは、前半にも後半にもピアノを出し入れするための舞台転換の時間が必要になる。これはかなりの無茶では……と案じたのだが、どちらもカーチュンが舞台上に出てきて、いい感じのトークをしてくれたのだ。ちゃんと内容があって、カジュアルで明るく、話のテンポがよい。こういった能力の高さも今の指揮者って感じがする。英語通訳入り。
●4曲それぞれ楽しんだけど、コリン・マクフィーの「タブー・タブーアン」がインパクト大。曲名は打楽器的な音楽といったような意味らしい。バリ島のガムランを着想源にしているというのだが、ぱっと聴くとポスト・ミニマル的で、いったいいつ書かれたのかと思ってプログラムノートを見たら1936年だった。マジっすかー。すごくカッコいい。
●ちなみに2台ピアノは、前半のプーランクは互いに向き合う形、後半のコリン・マクフィーは横に並べてともに指揮者に向き合う形。ふたりのピアニストが前後半ともに登場する公演もなかなかないが、ふたりの譜めくりが前後半ともに登場する公演もなかなかない、と細かいことを考える。